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VOL.1017 ラクトフェリンの有効性

2022年12月18日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1017           2022/12/18
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:ラクトフェリンの有効性
・編集後記


最新ニュース解説 Dec. 2022__________________________________________

 ラクトフェリンの有効性
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ラクトフェリンについての最新の論文を2つご紹介します。

1つは、弊社の製品(Baby&Me)を用いて、リプロダクションクリニック大阪で実施された臨床研究で、腸溶性ラクトフェリンの摂取は反復着床不全の女性の妊娠成立に寄与する可能性があることを報告しています(1)。

もう1つは滋賀医科大学による基礎研究で、ラクトフェリンは慢性子宮内膜炎治療の新しい選択肢になる可能性があると報告しています(2)。

リプロダクションクリニック大阪での研究では、良好な胚盤胞移植を5回以上実施しても妊娠に至らない反復着床不全で慢性子宮内膜炎ではない女性患者117名に子宮内や膣内の細菌叢の検査を実施したところ、44.4%の女性がラクトバチルス率が90%未満でした。

その中、23名の女性にBaby&Meのラクトフェリン700mg(1日あたり)を28日以上摂取してもらい再検査を実施したところ、14名(60.1%)の女性でラクトバチルス率が90以上に改善されましたが、9名(39.1%)の女性は90%以上に達しませんでした。

その後の胚盤胞移植では改善されたグループの妊娠率は71.4%だったのに対して、改善されなかったグループでは22.2%と、ラクトフェリン摂取によってラクトバチルスが90%以上に増殖したグループのほうが90%以上にならなかったグループに比べて有意に妊娠率が高く、流産率(20.0% vs 50.0%)が低くなりました。

このことから5回以上良好胚盤胞を移植しても妊娠に至らず、子宮や膣内の細菌叢が不良の女性に対して、腸溶性ラクトフェリンカプセルの摂取は妊娠に良好な影響を及ぼしていることが示唆されました。

一方、滋賀医科大学の研究では、慢性子宮内膜炎の不妊女性患者から子宮内膜組織を採取し、そこから子宮内膜間質細胞を分離し、培養しました。

そこにラクトフェリンを添加したところ、TNF-αやIL-1βと呼ばれている炎症を引き起こすタンパク質が添加しなかった場合に比べて有意に減少することをつきとめました。

このことからラクトフェリンは慢性子宮内膜炎で抗生物質による治療に加えて、新しい選択肢になる可能性があることが示唆されました。

◎ラクトフェリンとは?
ラクトフェリンは、鉄と結合する性質をもつ糖タンパク質で、涙や唾液、汗、子宮頸管粘液などに含まれています。

ラクトフェリンが最も多く含まれるのは初乳(分娩後数日間の母乳)であることから、このアクトフェリンは、赤ちゃんの栄養源としてだけでなく、子どもを長期間守る仕組みやからだを健やかに成長させる成分が完璧に揃っている食品であると考えられています。

実際、これまでの数多くの研究で、ラクトフェリンには感染防御機能や免疫を調節する機能が備わっていることがわかっています。また、それだけでなく、痛みや不安を調節し、睡眠も調整していることもわかってきました。

子宮や膣内の細菌叢には「プレバイオティクス」として作用することが知られています。

具体的には、生殖器官内で悪玉菌が増え、ラクトバチルス(善玉)菌が少なくなっているような場合、悪玉菌の増殖に必要な鉄と結合し(奪い取って)、悪玉菌の増殖を抑制したり、免疫調節作用によって炎症を抑制し、ラクトバチルスが増殖し、常在しやすい環境を整えます。

◎もちつ、もたれつの(共生)関係を大切にする
人間と細菌は共生関係にあり、細菌の構成が私たちの心身の健康に大きく影響していることはよく知られている通りです。

そして、細菌が最も多く存在するのが、ご承知の通り、腸内です。

腸内環境(細菌叢)は、食事内容や生活習慣と密接に関連していることが知られていますが、腸内細菌叢は早産のリスクと関連するという研究報告もあり、生殖機能と間接的に関与している可能性が大です。

歯周病による感染が流産や早産のリスクを高めることもよく知られています。

そのため子宮内や膣内の環境を整える際には生殖器官だけを見ていては、全くの片手落ちで、腸内環境を意識することが重要です。

バランスのとれた食生活や生活リズム、睡眠、運動、ストレスマネージメント、また、食品添加物や加工食品、過度の飲酒、喫煙は避けることなどがポイントです。

また、抗生剤の必要以上の使用も避けるのが無難ですが、特に、食習慣が変われば、腸内環境も変わります。

ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品やプロバイオティクスなを積極的に食べ、動物性脂肪や加工食品などを控えることはよく知られています。

また、それもさることながら、日々の習慣、たとえば、食事を楽しむ、食べ過ぎない、たまに断食をする、ストレスや怒りをうまくコントロールすることも、とても大切です。

腸内にしろ、生殖器にしろ、微生物と私たちは「お互いに」なくてはならない関係です。

つまり、もちつ、もたれつの、共生関係なわけです。

であれば、よい細菌に定着してもらうには、私たちもよい宿主になる必要があるということになります。

一方的によくなってもらおうというのは、虫が良すぎるはなしではないかと思います。

文献)
1)Arch Gynecol Obstet 2022; 306: 1761
2)J Reprod Immunol. 2022; 154: 103761.

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編集後記____________________________________________________________

今や、コンビニでも、スーパーでも、さまざまな乳酸菌(プロバイオティクス)が販売されていて、腸活ブームですが、乳酸菌やラクトフェリンは、あくまで、脇役で、主役は食事です。

特に、穀物は善玉菌の餌になり、必須です。

極端な糖質制限は腸内細菌叢を悪くし、子宮や膣内細菌叢にも間接的に悪い影響を及ぼす可能性がありますので要注意です。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1017
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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・合計部数: 3,625部(12月18日現在)
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