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VOL.1034 食事パターンと流産リスク

2023年04月16日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1034              2023/4/16
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:食事パターンと流産リスク
・編集後記


最新ニュース解説 Apr. 2023__________________________________________

 食事パターンと流産リスク
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妊娠前後の果物や野菜、魚介類、乳製品、卵、穀物を多く含む食事パターンは、流産リスクの低減と関連するかもしれないという研究報告がイギリスのバーミンガム大学の研究グループからなされました。

流産とは、妊娠したにもかかわらず妊娠22週より前に妊娠が終わることですが、妊娠12週未満の早い時期での流産がほとんどで、8割以上になります。

頻度としては妊娠の15%から20%に起こり、妊娠した女性の約40%が流産しているとの報告もあり、決して、まれなことではありません。また、年齢が高くなればなるほど、流産しやすくなり、40歳以上になると妊娠の50%以上が流産するという報告もあります。

早期流産の最も多い原因は、赤ちゃんの染色体異常です。染色体異常は、卵子が受精した瞬間に決定してしまい、妊婦の加齢により増えるので、年齢とともに流産率が高くなる根本原因で、避けようがありません。

一方、母親側のホルモンや免疫、血液が固まりやすくなるような異常、感染症などもあり、喫煙やアルコールなども影響することがわかっています。

要するに、流産は、多くは防ぎようがない原因によるものですが、中には防ぎようのある原因もあり、その他、原因とまでは言えないけれども、流産率に影響するリスク因子もあるということになります。

そして、リスク因子に生活習慣があり、喫煙やアルコールなどが知られていますが、食事についても多くの研究報告がなされていますが、明確な結論は出ていません。

そこで、これまでの多くの研究結果を統合し、解析した研究の結果が論文になって公開されたというわけです。

◎どんな研究だったのか?
システマティック&メタ解析という研究手法で、これまで食事と流産リスクとの関係を調査した研究結果を統合し、解析しました。

対象とした研究は、コホート研究が2件、症例対照研究が4件の6件で総被験者数は13,183名の女性でした。

◎どんな結果っだったのか?
多く食べたほうが流産リスク低減に関連したのは、果物、野菜、魚介類、乳製品、穀物でした。

その一方、肉や赤身肉、白身肉、脂肪、油、砂糖については、流産リスクとは関連しませんでした。

また、特定の食事パターンと流産リスクとの関連性は見出せませんでしたが、健康的な食品を含む全ての食事パターン、抗酸化物質を多く食べる食事は、流産リスク低減と関連しました。

◎健康的で抗酸化物質を多く食べる食事パターン
抗酸化物質を多く食べるということは、すなわち、さまざまな種類の新鮮な野菜や果物を、毎日、たくさん食べるということに尽きます。

そして、タンパク質源は魚で、主食は穀物ということになります。

健康的な食事パターンは、概ね、共通します。

・地中海食:地中海沿岸地域の伝統的な食事パターンで、さまざまな生活習慣の発症リスク低減に関連するという膨大な研究報告がなされている。野菜、じゃがいも、豆類、果物、全粒穀物、魚、オリーブオイルを多く、高脂肪乳製品、赤肉、鶏肉、アルコールが少ない食べ方。

・新健康食(AHEI-2010):米国大規模疫学調査から導かれた生活習慣発症リスクの低い食べ方。野菜(じゃがいもを除く)、果物、全粒穀物、ナッツ類、豆類、オメガ3脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、アルコールを多く、砂糖入り清涼飲料水、果物ジュース、赤身肉、加工肉、トランス脂肪酸、ナトリウム(塩)は少ない食べ方

・ファティリティダイエット:米国大規模前向きコホート研究「看護師健康調査」から排卵障害不妊症の発症リスクが低かった食べ方。一価不飽和脂肪酸/トランス脂肪酸比、植物性タンパク質のエネルギー比、高脂肪乳製品、鉄やマルチビタミンサプリメントを多く、動物性タンパク質、グリセミック負荷、低脂肪乳製品が少ない食べ方。

・"pro-fertility" diet:主にハーバード大学によるEART研究で良好なART成績に関連した食品を組み合わせた食べ方。葉酸、ビタミンB12、ビタミンDのサプリメント、残留農薬レベルが低い野菜や果物、全粒穀物、魚介類、乳製品、大豆食品を多く、残留農薬レベルが高い野菜や果物が少ない食べ方。

どの食事パターンにも共通するのは、全粒穀物や野菜、果物、魚、ナッツ類を中心にすることです。

◎妊娠の成立や継続を支えるための適切な栄養環境
このように妊娠の成立や継続を支えるための適切な栄養環境に大きな違いはないということになります。

これまでの研究はほとんど欧米など、海外で実施されたものです。そのため、妊娠の成立や継続を支える栄養環境についての原則を正しく理解し、普段の食生活に応用することが大切です。

万人にあてはまる正解はありませんので、マニュアルは存在しません。

自分たちの最適解を考え、実践していきましょう。


文献)
1)Fertil Steril :April 13, 2023 DOI:https://doi.org/10.1016/j.fertnstert.2023.04.011

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編集後記____________________________________________________________

健康的な食事パターンとして地中海食が有名ですが、現代の地中海地域でも食生活は伝統的な地中海食とは違ってきているようです。

各人に最適な食生活に応用することは万国共通のテーマかもしれませんね。

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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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