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妊娠しやすいカラダづくり No.1070 2023/12/31
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今週の内容__________________________________________________________
・トピックス:妊娠率に最も影響するのは?
・お知らせ:研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
・編集後記
トピックス Dec. 2023_______________________________________________
妊娠率に最も影響するのは?
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妊娠しやすさに最も影響するのは、年齢やAMH(アンチミューラリアンホルモン)だと漠然と思っている方が少なくないと思います。
ところが、少なくとも女性が35歳までであれば、周期あたりの妊娠率に影響するのは、年齢でも、AMHでも、BMIでもなく、性交回数だけであると、日本人の妊活カップルを対象にした東京大学の研究で明らかになっています。
年齢や卵巣予備能、BMI、性交回数と周期あたりの妊娠率の関係を検討すべく、第一子の妊娠を希望する不妊症でない20-34歳の日本人女性80名を対象に実施された研究です。
エントリー時に妊娠出産歴や生活習慣について質問票に回答してもらい、採血し、AMHを測定、その後半年間、妊娠や出産状況について追跡し、年齢や卵巣予備能(AMH)、BMI、性交回数と周期あたりの妊娠率との関係を調査しました。
その結果は、ある意味、驚くべきもので、妊娠率に影響したのは年齢でも、AMHでも、BMIでもなく、性交回数だけだったというのです。
また、これまでのあらゆる研究で、妊娠率を上げるために確固としたエビデンスがあるのは、セックスの「タイミングをあわせる」ことではなく「回数を増やす」ことだけなのです。
ところが、このことが正確に伝わっていないように思えてなりません。
そして、日本人の妊活カップルの性交回数は諸外国に比べても少ないという報告もなされています。
そこで、今年の最後の配信で、改めて、排卵期に関わらず、不妊治療を受けているいないに関わらず、とにかく、たくさん、セックスすることが妊娠を目指す上で最も大切で有効であることをお伝えしたいと思います。
◎どれくらい確率が高くなるのか
セックスのタイミングや回数が妊娠率にどのように影響を及ぼすのかを調べた研究では、毎日、セックスを行っているカップルの周期あたりの妊娠率は33%、それに対して、週1回では15%と、半分以下に下がっています。
また、通常、人工授精では男性パートナーはクリニックのメンズルームで採精(マスターベーションで精液を採取すること)し、人工授精を行うのですが、その際に2回続けて(1時間以内に)採精し、2回目の精液で使ったところ平均の妊娠率が3倍になったという研究報告がなされています。
このようにセックスの回数が多くなるほど、また、セックス(射精)の間隔が短いほど、妊娠率が2~3倍に高くなることが確かめられています。
◎セックスの回数が増えるほど妊娠率が高くなる理由
セックスの回数が多くなるほど妊娠しやすくなるのは3つの理由が考えられます。
1つはタイミングが合いやすくなること。2番目は精子の質が高くなること、3つ目は女性の免疫システムが妊娠をサポートするように働くようになることです。
まずは、回数を増やした結果、タミングがあうようになるということ。セックスのタイミングで最も妊娠しやすいのは排卵の2日前、その次に前日とされていますが、現実には排卵のタイミングを予め予測することが難しいため、1回でタイミングを合わようとすると、かえって、はずれてしまう可能性が高くなってしまいます。
それよりも、隔日、もしくは、毎日、セックスすることで確実性が飛躍的に高まるはずです。
次に、精子の質がよくなるということ。セックスの回数が増えるほど、男性の射精頻度が高まり、精子の質も高くなります。
前述の人工授精の際に連続した採精を行い、2回目の精子を使うことで妊娠率が3倍になったのは精子の質がよくなったからだと考えられます。
精子の質とは精子のDNAに損傷がないということです。男性は、毎日、精子がつくられていますが、時間がたつほど活性酸素のダメージでDNAに損傷を受けた精子が増えていきます。つまり、精子も古くなるほど質が低下してしまうというわけです。
そのため、頻繁に射精するほど精液中に新鮮な精子の割合が高くなり、当然、妊娠の確率が高くなります。
最後に免疫システムのこと。まず、妊娠、出産がうまくいくかどうかは免疫システムにかかっているということを理解しておく必要があります。
精子や胚、胎児は、本来、母体にとっては「異物」であるため妊娠、出産が正常に進むには免疫システムがそれらを排除しないように働く必要があるからです。
要するに、女性の妊娠力は免疫システムによってコントロールされている面があるわけです。
そんな中で性交で射精された精子が女性の生殖器に接触すると、その刺激によって、女性の免疫システムが精子や胚、胎児を攻撃しなくなるように働くことがわかっています。
また、女性の月経サイクルを通した性行為、そのものが、同じように女性の免疫システムが妊娠をサポートするように働くようになることもこれまでの研究で確かめられています。
◎夫婦仲良く、が基本中の基本
以上のように、排卵前であろうとなかろうと、不妊治療を受けていてもいなくても、たくさん、セックスすることによって妊娠の確率が高くなるように、私たち人間の身体は出来ているようです。
もしも、体外受精や顕微授精を受けるようになると、その必要がなくなったと思い、セックスがなくなってしまっていれば、認識を改めたほうがよさそうです。
さらに、セックスすることによって、夫婦の関係性がよくなることは、違う次元で有利になるはずです。
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
お知らせ__________________________________________________________
研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
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東京都調布市にあるウィメンズクリニック神野では、京都大学との共同研究「体内PFAS (有機フッ素化合物) 濃度と生殖補助医療成績との関連に関する研究」に参加いただける方を募集しています。
PFASとは有機フッ素化合物の総称で、撥水剤や消火剤、コーティング剤等に用いられていて、環境中で分解されにくく、蓄積性が高い物質であることから、水道水や井戸水などから体内に摂取されていると考えられています。
最近、PFASによる地下水汚染が日本全国で徐々に明らかとなってきており、東京都多摩地域もPFAS汚染が示され、 さらに多摩地域住民の血漿中PFAS濃度が高いことも示されました。
PFASの体内蓄積は、妊孕性低下との関連も示されています。
そこで、高度生殖補助医療を受けられる患者さんを対象に血液や卵胞液中のPFAS濃度を測定し、治療成績との関連を調査する研究がはじめられることになり、参加される方を募集します。
詳細は以下をご覧ください。
https://www.akanbou.com/PFAS_study.pdf
編集後記____________________________________________________________
今年最後の配信になりました。よいお年をお迎えください。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.1070
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします。
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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◎発行部数
・自社配信: 1,515部
・まぐまぐ: 2,061部
・合計部数: 3,576部(12月31現在)
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