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妊娠しやすいカラダづくり No.1072 2024/1/14
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今週の内容__________________________________________________________
・最新ニュース解説:低炭水化物地中海食はテストステロンレベルを上げ、精子DFIを下げる
・お知らせ:研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
・編集後記
最新ニュース解説 Jan. 2024_________________________________________
低炭水化物地中海食はテストステロンレベルを上げ、精子DFIを下げる
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3ヶ月間の地中海食は男性のテストステロンレベルを上昇させ、地中海食+低炭水化物は精子のDNAの損傷度を下げることがイタリアで実施された研究で明らかになりました(1)。
地中海食はこれまでの数多くの研究でにより、さまざまな生活習慣病の発症リスクを下げる理想的な健康食として認められています。
その地中海食でテストステロンレベル上昇が、さらに炭水化物を少なくすることで、精子DNAの損傷度を下げるというのですから、食事が精子の質に及ぼす影響は、私たちが想像している以上のようです。
◎どんな研究だったのか?
35歳から45歳までの男性不妊患者50名を対象とした3ヶ月間の食事療法が実施されました。
地中海食を食べるグループが30名、炭水化物の摂取量を1日の摂取カロリーの35%減らす低炭水化物地中海食を食べるグループが20で、それぞれ、栄養カウンセリングと個人にあわせた食事計画のもとに行われました。
そして、地中海を食べた30名にはテストステロン値を、低炭水化物地中海を食べた20名には、精子DNA断片化指数の前後の変化が調べられました。
◎どんな結果だったのか?
3ヶ月間の地中海食療法を受けた男性では、平均のテストステロンが3.2±0.3から6.92±1.16に有意な上昇が認められました。
また、低炭水化物地中海食においても精子DFIが44.2±3.02から23.3±3.57に、有意な低下が認められました。
このことから地中海食や低炭水化物地中海食はテストステロンの上昇や精子DFIの低下を通して男性の妊娠させる力を高める可能性があることがわかりました。
◎この研究での食事内容
この研究で実施された食事は以下の内容です。
朝食/全粒粉のパンに卵やサーモン、ナッツ類、果物を食べます。
主食/全粒粉パン
乳製品/食べない。
発酵食品/ヨーグルトやケフィアなどを日常的に摂取。
果物/赤い果物を日常的摂取。
緑黄色野菜/1日3皿摂取。
ナッツ類/毎日30g摂取
豆類/週に3~4回摂取する。
海藻/週に少なくとも5~6回
脂ののった魚/週に2~3回食べる。
加工肉/食べない。
オーガニック肉/週3~4回摂取。
卵/週に8~10個。
果物/1日300gまで。
アブラナ科の野菜/少なくとも週に4~5回摂取する。
加工食品・調理済食品/食べない。
また、ショウガ、ターメリック、コリアンダー、ローズマリー、バジル、ニンニク、タマネギ、パセリなどのスパイスを頻繁に使います。
◎地中海食
女性においても、地中海食は体外受精の良好な妊娠率や妊娠高血圧腎症発症リスク低下、さらには、産後うつ発症リスクの低下にまで関連するという研究報告がなされています。
食(栄養)と生殖機能の関係についての研究が増えていますが、最近の傾向として栄養素や食品単体ではなく、食べ方、すなわち、食事パターンに着目し、どんな食べ方をすれば、妊娠や出産に有利になるのかが調べられています。
なぜなら、私たちは、普段、栄養素を食べているわけではなく、いろいろな食べ物を組み合わせて食事しているからです。
食習慣がどのくらい地中海食に近いかを数値化したものが「地中海食スコア」で、スコアが大きいほど地中海食に近いことを意味します。
算出方法は、地中海食に関連する11種類の食品の摂取量や摂取頻度を6段階(0-5)で点数化し、それを合計(0-55)します(https://www.akanbou.com/medscore.pdf">https://www.akanbou.com/medscore.pdf)。
11種類の食品は以下の通りです。
・多く食べるほどスコアが高くなる食品:無精製穀物(全粒穀物、全粒粉パン、全粒粉パスタ、玄米他)、じゃがいも、果物、野菜、豆類、魚、オリーブオイル
・多く食べるほどスコアが低くなる食品:赤身肉や鶏肉、全脂肪乳製品(チーズ、ヨーグルト、牛乳)、アルコール
「なにを食べるかよりも、どう食べるか」が妊娠や出産に影響するということです。
文献)
1)Curr Res Food Sci 2023; 7: 100636
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
お知らせ__________________________________________________________
研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
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東京都調布市にあるウィメンズクリニック神野では、京都大学との共同研究「体内PFAS (有機フッ素化合物) 濃度と生殖補助医療成績との関連に関する研究」に参加いただける方を募集しています。
PFASとは有機フッ素化合物の総称で、撥水剤や消火剤、コーティング剤等に用いられていて、環境中で分解されにくく、蓄積性が高い物質であることから、水道水や井戸水などから体内に摂取されていると考えられています。
最近、PFASによる地下水汚染が日本全国で徐々に明らかとなってきており、東京都多摩地域もPFAS汚染が示され、 さらに多摩地域住民の血漿中PFAS濃度が高いことも示されました。
PFASの体内蓄積は、妊孕性低下との関連も示されています。
そこで、高度生殖補助医療を受けられる患者さんを対象に血液や卵胞液中のPFAS濃度を測定し、治療成績との関連を調査する研究がはじめられることになり、参加される方を募集します。
詳細は以下をご覧ください。
https://www.akanbou.com/PFAS_study.pdf
編集後記____________________________________________________________
炭水化物を減らすことは精子の質にもよい影響を及ぼすのですね。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.1072
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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◎発行部数
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・まぐまぐ: 2,058部
・合計部数: 3,576部(1月14日現在)
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