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VOL.1082 緑の中で過ごす

2024年03月24日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1082            2024/3/24
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今週の内容__________________________________________________________

・トピックス:緑の中で過ごす
・お知らせ:研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
・編集後記


トピックス Mar. 2024________________________________________________

 緑の中で過ごす
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住まいの周辺に緑が多いほど平均閉経年齢が高い、すなわち、生殖年齢が長いという研究報告がノルウェイのベルゲン大学からなされています(1)。

閉経年齢に影響を及ぼす可能性のある生活習慣として、これまで、喫煙や肥満、身体活動などが知られていましたが、この研究で環境因子が関連するということが明らかにされています。

論文の筆者は、緑の中にいる女性は、緑と接していない女性に比べて、ストレスホルモンと呼ばれる血中のコルチゾールというホルモンのレベルが低く、コルチゾールの低下がエストロゲンを上昇させ、生殖年齢の伸長に寄与しているのかもしれないとの見解を述べています。

◎どんな研究だったのか?
ノルウェイのベルゲン大学の研究者らは、住まいの周辺の植生(緑)の量が閉経年齢に影響を及ぼすのかどうかを調べるべく、ヨーロッパ14か国の29施設による大規模縦断研究を実施しました。

まずは、1995名の女性を対象に住居の周辺300メートルの緑を、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)と呼ばれる、植生の分布状況や活性度を示す指標(植生指数)を用いて評価し、20年間追跡しました。

その次に植生指数で4つのグループに分け、閉経年齢との関係を調べました。

◎どんな結果だったのか?
NDVIが最も高いグループの女性は最も低い女性に比べて閉経年齢が1.4歳高かったことがわかりました。

つまり、住居の周辺に緑が多い女性は緑がない女性に比べて、月経のある期間が1.4年も長かったということになります。

これは、たまたまではなく、統計学的に意味のある差で、日常で緑に接することが閉経を遅らせることが示唆されました。

◎緑の中で過ごすことの効用
緑の中で過ごすことは、ヒトの心身の健康に大きな影響を及ぼすことが、これまでの研究で明らかにされています。

イギリスのイーストアングリア大学の研究グループが、緑の中でいることの影響を調査した研究を集めて、それらの結果を統合し、解析したメタ分析の結果を発表しています(2)。

対象となった研究は観察研究が103件、介入研究が40件で、総被験者数は、20カ国の約2億9000万人で半分はヨーロッパ、4分の1は日本で実施されたものです。

その結果も驚くべきもので、緑の多い空間に長時間を過ごすことは、ストレスホルモン「コルチゾール」の分泌量が減少し、冠動脈疾患や2型糖尿病のリスク低下だけでなく、血圧やコレステロール値の低下とも関連しました。

また、妊娠中の女性が緑の中で過ごす時間を増やすと、胎児発育不全や早産のリスクが低下するというのです。

◎森林浴に出かけ、周囲に緑を増やす
緑の中で過ごすことは、ヒトの心身の健康にプラスの影響を及ぼし、妊娠する力だけでなく、胎児を育む力をも高めてくれるようです。

もちろん、森に出かけることは、運動にも、日光浴はビタミンD濃度が高まることにもなり、いいことだらけです。

また、森にでかけることだけでなく、日常生活に中に緑を増やしてみてはいかがでしょうか。

もともと、ヒトは緑の多い環境で生活していたはずです。

日常生活で緑を増やすことで、本来的に備わっているヒトの身体の機能が正常化するのは当然のことなのかもしれません。

文献)
(1)Environ Int. 2019; 32: 105088.
(2)Environ Res. 2018; 166: 628.

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


お知らせ__________________________________________________________

   研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
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東京都調布市にあるウィメンズクリニック神野では、京都大学との共同研究「体内PFAS (有機フッ素化合物) 濃度と生殖補助医療成績との関連に関する研究」に参加いただける方を募集しています。

PFASとは有機フッ素化合物の総称で、撥水剤や消火剤、コーティング剤等に用いられていて、環境中で分解されにくく、蓄積性が高い物質であることから、水道水や井戸水などから体内に摂取されていると考えられています。

最近、PFASによる地下水汚染が日本全国で徐々に明らかとなってきており、東京都多摩地域もPFAS汚染が示され、 さらに多摩地域住民の血漿中PFAS濃度が高いことも示されました。

PFASの体内蓄積は、妊孕性低下との関連も示されています。

そこで、高度生殖補助医療を受けられる患者さんを対象に血液や卵胞液中のPFAS濃度を測定し、治療成績との関連を調査する研究がはじめられることになり、参加される方を募集します。

詳細は以下をご覧ください。
https://www.akanbou.com/PFAS_study.pdf


編集後記____________________________________________________________

春を迎えるこれからの季節、積極的に緑の中で過ごしたいですね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1082
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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◎発行部数
・自社配信: 1,532部
・まぐまぐ: 2,040部
・合計部数: 3,572部(3月24日現在)
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