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妊娠しやすいカラダづくり No.1126 2025/1/26
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今週の内容__________________________________________________________
・最新ニュース解説:入眠時間や睡眠時間のばらつきと妊娠しやすさ
・編集後記
最新ニュース解説 Jan. 2025________________________________________________
入眠時間や睡眠時間のばらつきと妊娠しやすさ
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入眠時間と睡眠時間のばらつきが大きい女性ほど、妊娠までの期間が長くなることがアメリカで実施された研究で明らかになりました。
入眠時間とはベッドに入ってから眠りにつくまでの時間のことで、この入眠時間と睡眠時間がサーカディアンリズム(体内時計)の慢性的な乱れの指標となります。
要するに体内時計の乱れは妊娠しにくくなるということになります。
◎どんな研究だったのか?
妊娠を希望する女性を対象にサーカディアンリズムを評価するためにアクチグラフウォッチ(腕時計型小型高感度加速度センサー&ロガー)を2週間装着してもらい、入眠時間、起床(覚醒)時間、就寝から起床の中間の時刻、睡眠時間とそれらの日々の変動を記録しました。
被験者は1年間の追跡され、妊娠までに要した期間を調査しました。
その上で、サーカディアンリズムの乱れと妊娠するまでにかかった期間の関係が調べられました。
◎どのような結果だったのか?
被験者183人のうち、82人が中央値2.8ヶ月で妊娠しました。
年齢、BMI、人種、教育、収入、喫煙状況の影響を統計学的に調整した結果、入眠時間や睡眠時間の日々のばらつきが大きい女性ほど、妊娠までの期間が長くなることがわかりました。
入眠時間のばらつきが1.8 時間未満の女性に比べてばらつきが1.8時間以上の女性は妊娠までに要した期間から算出した妊娠しやすさが40%低下し、睡眠時間のばらつきが2.3時間未満の女性に比べて2.3時間以上の女性は42%低下しました。
その一方で、平均的な入眠時間と起床時間、中途覚醒時間、睡眠時間、または睡眠の起床時間と中途覚醒時間のばらつきについては、妊娠しやすさと関連しませんでした。
◎生体リズム
私たち人間のさまざまな活動にはそれぞれのリズムがあり、お腹が空けば食べ、朝になると目が覚め、夜になると眠くなります。もっと詳しくみてみると、体温や血圧、ホルモンの分泌などにも、ぞれぞれに一定のリズムがあります。
たとえば、生殖に関連するところでは、女性には26日から34日の月経サイクルがあり、夜中の0時から2時にプロゲステロンが、10-14時に卵胞刺激ホルモンが、朝の4-8時に男性ホルモンの分泌量が多くなります。
要するに、人間の活動にはすべて適切な時(タイミング)があり、それらは、全て、私たちが意識するしないにかかわりません。
そして、それらの「時」は、生体リズムが奏でているのです。
いくつもの周期のリズムが備わっていますが、代表的なのは約24時間周期、すなわち、おおよそ1日周期なので、サーカディアン(慨日)リズムと呼ばれています。
そして、サーカディアンリズムをつくりだし、コントロールし、調整しているのが、前述の体内時計と呼ばれる、時計遺伝子です。
◎親時計と子時計
生体リズムをつくりだす体内時計の本体は、脳の視床下部の視交叉上核というところにある神経細胞の塊で、時計遺伝子と呼ばれている遺伝子がそれぞれのリズムをつくりだしています。これが親(中枢)時計です。
また、この親時計にある時計遺伝子と同じものが身体のほとんどの細胞にも存在することがわかっています。それらを子(末梢)時計と呼んでいます。
女性の生殖器官にもこの抹消の時計遺伝子が備わっていて、親時計と密接にやりとりをしながら、身体全体のサーカディアンリズムをつくりだしています。
◎体内時計のリセット
ところが、体内時計のつくりだすサーカディアンリズムは、なぜか、24時間ではなく、24.5時間で、自然のサイクル(地球の自転リズム)よりも30分ずれているということになり、そのままにしておくと、24日で昼と夜が逆転してしまいます。
そのため、毎日、リセットして、体内時計をあわせてやる必要があります。
リセットの役割を担っているものはいくるかあるようですが、最も強力なのは、太陽の光を受けることです。
朝、起きて太陽の光を浴びることで、カチッと体内時計がリセットされます。
体内時計は光の影響を強く受けるので、深夜に明るい光を浴びたり、朝に太陽の光を浴びなければ、生体リズムは乱れてしまいます。当然、睡眠の質や免疫力が低下したり、ホルモンのバランスが崩れてしまいます。生活のリズムが乱れると、体調を崩したり、病気を招いてしまう根本原因です。
そして、年をとればとるほど、体内時計の修復力が徐々に低下します。
◎30代後半から体内時計のメンテナンスが重要
卵巣機能は他の臓器に比べて、早く、具体的には30代後半から老化がはじまります。そして、卵巣の老化は体内時計の機能の低下が密接に関わっていることがわかっています。
そのため、30代後半からは、積極的に体内時計を手入れし、ケアすることが卵巣機能の低下を遅らせることになるはずです。
反対にケアを怠り、放置しておくと卵巣機能の低下が加速してしまいます。
具体的な方法です。
1)早く寝る:どんなに遅くとも23時迄には寝る。
2)早く起きる:起床後14-16時間後にメラトニンの分泌が始まります。
3)起床後太陽光を浴びる:出来れば45分以上散歩して。
4)朝食は必ず食べる。:起床後2時間以内に。
5)朝食にはバランスよく、タンパク質も必ず食べる(リセット効果が高まります)
6)以上のことを毎日同じ時間に行う:週末も同じリズムを維持します。
7)夜はスマホやタブレット、PCを見ない。
特に、早寝早起き、朝食、スマホが鍵になりそうです。
文献)
Fertil Steril Articles in Press 2025, doi: https:// doi.org/10.1016/j.fertnstert.2025.01.019.
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編集後記____________________________________________________________
体内時計が乱れないようにメンテナンスしておくことが大切なようです。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.1126
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