授かり待ちのあなたのためのリストラティブヨガ
第1回 いま一番大切なのは何もしないこと
岡部 朋子 先生(ルナワークス代表)
はじめまして。ヨガインストラクターの岡部朋子です。
皆さんは「リストラティブヨガ」って、聞いたことがありますか?
ヨガといっても、アクロバットのようなむずかしいポーズはナシ。
身体がラクにリラックスできるように工夫されたもので、ヨガに医学の視点を取り入れて、症状に応じたプログラムがあります。
不妊症の方のプログラムもあるんですよ。これからリストラティブヨガについて、少しずつお話ししていきたいと思います。
さて、妊活中の方は、毎日どんな生活を送っていますか?
家のこと、治療のこと、周りとの関係など、きっと忙しく、毎日があっという間でしょうね。
そして、「妊娠するために、あれをやらなくちゃ」「身体にいいから、これもやらなくちゃ」・・・・・・そんなふうに過ごしていませんか?
あなたは本当に頑張り屋さん。
妊活中の方にそう声をかけると、必ずといっていいほど、こんな言葉が返ってきます。
「いえいえ、私なんて、まだまだ努力が足りなくて妊娠しないんです」
ええっ、こんなに頑張っているのに!?
身体も心も、1ミリも隙(すき)がないほどパンパンになっているのに・・・。
そう、あなたは、もう十分に努力しています。
ずっと頑張ってきました。
本当に、あなたは頑張り屋さんです。
だから、ちょっと休んでみませんか?
いつの間にか重くなってしまった肩の荷物を下ろして、ほんのひととき、何もかも忘れてみませんか?
ヨガの考え方の基本は、リラックスすること。
息を吸って、吐いて、身体を動かすのも、深くリラックスするためなんです。
そして、身体のリラックスに、心のリラックスがついてきます。
知らないうちに疲れてしまった心と身体。
いまは、まず休めることから始めましょう。
何もしなくていいんです。
治療は? 生理がきたら?
そう心配になってしまうかしら。
一番大事なのは、あなたの心と身体。それがすべての基本です。
たとえ種や肥料が揃っていたとしても、それを育む土壌が疲弊していたら、種が芽を出して花を咲かせて、実をつけるには、随分時間がかかってしまいますよね。
だったら、もともとの土壌を豊かにととのえることが大事だと思いませんか?
そうしたら、種をちゃんと発芽させて、肥料をしっかりと活用できるはず。
実は私自身、多忙な日々を送るうちに「身体や心が心地よい感覚」をすっかり忘れてしまいました。
そんなときヨガに出会い、こわばっていた身体がゆるむにつれ、心も解放されていったのです。
あれ? こんなにラクに生きていいんだ!?
そんなふうに感じて、「これはもっとたくさんの人に知ってほしい、体験してほしい!」とインストラクターの道に進んだのです。
とはいえ、私はむずかしいポーズを極めるのではなく、いかにラクにヨガをやるかを探求しています。
どうしてかというと、ヨガの本来の目的は「リラックスすること」だから。
「リストラティブヨガ」は、別名"脱力ヨガ"。老若男女、誰でもできます。
このラクチンなメソッドで、妊活で疲れた身体を投げ出して、頭を空っぽしてください。
「あれもこれも」と隙のない心に、ぽっかりと「何もしない」をつくってほしいのです。
これから、リストラティブヨガのエッセンスを伝えていきたいと思います。
次回は「20分間、休めますか?」をお届けします(2月12日(火)掲載予定)。
(2013年2月6日)