この調査は、着床前診断の技術についての調査研究ではこれまでで最大の規模で行なわれたもので、主にアメリカのシカゴ、ニュージャージー、イタリアのボローニャで、754の着床前診断による出生児について調べたものです。
調査に従事した研究者グループによると、着床前遺伝子診断のよって生まれた子供は通常に生まれた子供に比べて、なんの問題も見出せなかったとしています。
これまで専門家の間では、8分割卵の胚から細胞を取り出して遺伝子検査をすることから、その後の成長になんらかの悪影響を及ぼしはしないか懸念されていました。
この調査結果は、先月、イギリスで生殖医療の規制を取り締まる「HFEA」が、遺伝病の治療のために着床前遺伝子診断を許可したことにも影響を与えたようです。
コメント
着床前診断というのは、体外受精時に受精卵を移植する前に、染色体異常や遺伝子疾患、性別などを予め、調べる技術のことです。
染色体異常のない受精卵を選別して移植することで流産のリスクを低下させることができ、遺伝子疾患のない受精卵だけを選別し移植することで病気が子供に遺伝するのを防ぐことができ、希望する性別の受精卵を選別して移植すれば男女の産み分けが可能になります。
ところが、 受精卵を選別することや、選別されなかった受精卵をどうするのか、この技術を使った胚から生まれた子供への影響への懸念などから、厳しく規制されてきました。
ところが、日本でも先月、筋ジストロフィーを対象とした診断が学会により承認されたり、イギリスでも緩和に向かっており、もはや時間の問題といった状況のようです。