卵管妊娠(子宮外妊娠)の治療のその後の妊娠への影響

不妊改善・生殖医療関連

2004年09月03日

Fertility and Sterility 8月号

卵管妊娠を薬物療法(メソトレキセート)で治療した場合、その後の妊娠には大きな影響を与えないことが判明しました。受精卵は、子宮内膜に着床するのが正常ですが、卵管に着床した妊娠を卵管妊娠と言い、子宮外妊娠の一つです。

治療は、外科的手術と薬物療法があります。

今回の研究に従事したフランスの研究者は、子宮外妊娠の治療について、その後の妊娠を可能にするために外科的手術以外の治療を探る必要があるとし、卵管妊娠の早期の発見により外科的手術以外の治療が可能になると、生殖医療専門誌「Fertility and Sterility」に発表しました。

メソトレキセートを使った薬物療法のその後の妊娠への影響を調査するために、子宮外妊娠で薬物療法を受けた126名に電話によるアンケート調査を行ないました。
それによりますと、93名が妊娠を希望しており、その内、76名(82%)が妊娠していました。
64名は自然妊娠、12名は体外受精を受けての妊娠でした。
自然妊娠した人の内、52名は子宮内膜に正常に着床していますが、12名は、流産していました。
そして、12名は再び子宮外妊娠でした。

研究者グループは、さまざまな要因を考慮に入れ、薬物治療はその後の生殖能力に大きな影響を与えないと結論付けています。

コメント

子宮外妊娠に対する主な治療法は、外科的手術で、子宮外妊娠を起こした側の卵管を摘出する方法が一般的です。

卵管は左右に2つありますから、片側を摘出しても、もう片側が機能していれば、その後の妊娠は可能です。

今回の報告を見れば、その後の妊娠のためには薬物療法を選択するのがベストかのような印象を持たれるかも知れませんが、薬物療法で治療できるのは、早期に発見される等の限られた状況のみです。
また、使用するメソトレキセートは、抗ガン剤で、この薬によって妊娠組織を攻撃し、消失させるようとする治療です。
抗ガン剤であることから、さまざまな副作用があるため、慎重に投与されなければなりません。

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