未受精卵凍結による不妊治療の成功事例

不妊改善・生殖医療関連

2004年09月15日

Medline Plus 2004/09/13

これまでの不妊治療において、胚(受精卵)を凍結することは一般的に行なわれていますが、未受精卵の凍結は解凍後の受精が難しいとされてきました。イタリアの研究チームは、凍結技術のさらなる改良が必要であるとしながらも、未受精卵の凍結の実用化への目処がついたと生殖医療専門誌「Fertility and Sterlity」発表しました。

研究は、余分な胚を作ることを希望しなかったり、採卵時に受精のための精子が得られなかった不妊治療中の68組のカップルを対象に行なわれ、採卵後、未受精のまま凍結しました。
86回に渡って、737個の卵子を解凍した結果、37%の未受精卵が凍結、解凍を経ても生殖能力を失わなかったとしています。
そして、その半分弱が受精に成功、そのほとんどは正常に分割し、移植後、15人の女性が妊娠し、最終的には5人の男の子、8人の女の子の計13人が生まれました。

現在のゆっくりと凍結する方法では、ほとんどの卵子が生殖能力を失ってしまうことから、凍結技術に課題があるとしながらも、凍結、解凍を通じて生殖能力を失わなかった未受精卵は、その後満足のいく確率で受精、分割、移植に成功していると研究者は述べています。

コメント

これまで、日本でも未受精卵の凍結保存による受精の実験で、高い確率で成功しています。
ニュースでも指摘されているように、現在、体外受精において、質の良い胚(受精卵)が複数個得られた場合に、凍結保存することで、採卵回数を減らすことが出来たり、1回に移植する胚の個数を減らし、質の良い胚を次回の移植時に使うことが可能になり、女性への負担が減り、多胎妊娠を防ぎ、妊娠の確率が上がることに貢献しています。

ただし、未受精卵の凍結保存が可能になると、全く新しい不妊治療が可能になるのです。
女性は歳をとるほど卵子の質が低下することから、若い時に採卵し、そのまま凍結、保存しておいて、子供が欲しくなってから、解凍し、受精させ、移植するということが可能になるのです。
若いときの生殖能力の高い卵子を保存しておくことで、子供をつくるタイミングを生殖能力の低下を伴わずに自分で選ぶことが出来る訳です。

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