精子のもとの細胞を体外で増殖に成功

不妊改善・生殖医療関連

2004年11月05日

共同通信 2004/11/04

精巣の細胞3000~5000個に1個しかない精原幹細胞という精子のもとの細胞を、体外で大量に増やす方法を開発したと、アメリカのペンシルベニア大学の久保田浩司助手(細胞生物学)らのチームが、アメリカ科学アカデミーに発表しました。この技術は、将来的には男性不妊の治療や希少動物の保護に応用が期待できるそうです。

実験はマウスを使い、精巣の細胞から、さまざまな目印を使って、精子のおおもとの精原幹細胞をよりわけて取り出し、神経を保護する特殊なタンパク質を加えることで、この細胞を試験管内で継続的に増やせることを初めて突き止めたそうです。

コメント

体外で精子のもとになる細胞を増やせるとなると、うまく精子が作られない男性不妊患者に適応することが出来るのではとのことですが、現段階では、マウスでの実験が成功したということですので、人間への応用が可能になったわけではもちろんありません。

高度な不妊治療は、いまや、体外で受精、培養させることは当たり前になっていますが、将来的には、女性の卵子や男性の精子までも、体外で育てることや、さらに、人工の子宮内膜によって、体外で胎児を育てることも可能になるのでしょうか。
いずれにしても、体外受精や顕微受精は、生殖プロセスの一部を人間の手で肩代わりすることによる治療なわけですから、この方向を推し進めていけば、将来的には十分にありえることではないでしょうか。

要は、技術がどこまで可能なのかということと、どこまでの介在を求めるのか、そして、どこまでの介在を許し、よしとするのかです。