この傾向は自然妊娠の場合と同様で、女性が若ければ若いほど1周期あたりの妊娠の可能性は大きくなると言えます。
この調査結果は、アメリカの医療行政の管理部門である健康福祉局の下部組織である疾病管理センターが、実施、発表したものです。
高度な不妊治療における妊娠率は、30代の半ばを過ぎる頃から徐々に低下しますが、これは、たとえ、高度な不妊治療を受けたとしても、年齢による妊娠率の低下は避けられないことをあらわすものです。
報告によりますと、アメリカで高度生殖補助医療によって出生した子供は、2001年の40,687人に対して、2002年は45,000人にのぼっています。全体の妊娠率は、28.3%で、双子以上の多胎妊娠は、そのうちの35%です。
女性の年齢別の妊娠率をみますと、35歳以下の女性の場合で37%、38~40歳になると21%、41~42歳で11%、42歳以上になると4%に低下していきます。
調査はアメリカの391の施設を通して実施されたものです。
コメント
アメリカでは、体外受精や顕微受精といった高度な不妊治療を実施する施設の監査システムや臨床成績の報告が法律に基づいて、政府機関によって厳格に実施されています。
治療成績については、各施設の自己申告によるバラバラな基準(概ね、施設に有利な)による治療成績しか知ることが出来ない日本とは大きく異なります。
今回、発表されたのは2002年度の成績です。報道では、特に年齢による妊娠率の低下は不妊治療を受けることによっても、克服することが出来ないことを強調しています。
このことは、不妊治療というのは、妊娠を妨げているものを排除するのが本質的な役割であって、生殖能力を高めるものでは決してないということを如実に物語っていると言えます。
妊娠のために大切なポイントは、自身に備わった生殖力、妊娠する力を高めることで、それは、日常の生活のライフスタイルや食事、心の持ち方等、自分自身で取り組むことが出来るものです。
ここを誤って認識してしまうと、不妊治療に過度な期待を抱いてしまい、ただでさえ、治療から受けるストレスをより大きなものにしてしまいかねないところです。