体外受精で先天性障害のリスクが40%高まる

不妊治療のリスク

2005年01月28日

Human Reproduction

体外受精によって出生した子供は、口唇・口蓋裂や二分脊椎症、心臓疾患等の先天性異常のリスクが25~40%高まることが、オーストラリアの研究者の調査で判明したようです。この調査は、世界中の25の調査報告を分析したもので、原因は不明としながらも体外受精によって先天的な欠損症のリスクが高まると結論付けています。

不妊の原因となるものが、同時に先天性異常の原因となっているのか、それとも、卵子を体外に取り出して受精させ、胚を戻すという治療のプロセスそのものに、たとえば、受精卵を傷つけてしまうというような原因があるのか、さらに、排卵を誘発したり、妊娠を持続させるための薬の副作用によるものなのか、何が原因となってリスクが高まっているのかは因果関係を突き止めようがなく、不明です。

いずれにしても、治療を受けようとする患者には事前に知らせる必要があります。
ただし、正しく認識しなければならないのは、治療を受けることで先天性異常の子供が多く生まれるわけでは決してないということ。
たとえば、自然妊娠によって生まれた子供の先天性異常は3%といわれています。
100人に3人の割合です。
これが、体外受精によって、リスクが40%高まったとして、100人に4人になる程度なのです。
さらに、すべての先天性異常がその子供の人生に大きな影響を与えるような程度ではないということも、知っておく必要があります。

コメント

やはり、自然な妊娠ではなく、人為的なプロセスが入ることで、何らかの不都合が起こりえるということでしょう。

ただし、このことで、治療を考えている方が混乱したり、不安を大きくする必要はありません。
論文でも強調されていますが、自然妊娠でも100人に3人の先天性異常の子供が生まれており、体外受精児の場合は、100人に4人であるという程度なのです。

心配するよりも、妊娠前から葉酸を摂取する等の先天性異常対策をしっかりととっておくことです。

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