この調査はイギリスのロンドン大学の小児科の研究グループが、体外受精や顕微授精で産んだ5歳から6歳の子供を持つ181組の親を対象に実施したもので、結果、ほとんどの親は、妊娠の経緯を子供に話すつもりであるか、既に話していたと言います。
未だ決めていないと答えたのは、母親で16%、父親では21%で、話すつもりはないと答えたのは、少数の父親で、母親にはいなかったようです。
ただ、話すつもりであると答えた親も、いつ、どのように話しを切り出したらよいものか、明確になっている訳ではないようで、子供になじみやすいような物語のようなものがあればよいと思っていることも分かりました。そんなものがあれば、まだ決めかねている親の3分の1は、話そうと思うようになるだろうと言います。
研究グループのリーダーは、不妊治療によって、子供を妊娠、出産した親は、そのことを子供に伝えるべきであると指摘しています。
その主な理由としては、高度な不妊治療の子供の健康への影響は、特に、不妊症の遺伝も含めて、まだ、完全に明らかになったわけではないことから、子供には、完全に彼らの生まれた経緯については、しっかりと伝えるのがよいからというものです。
グループは、親が子供に話しやすいように、"家族の作り方"という小冊子を完成させました。
これがあると、たとえ、小さな子供でも、複雑な事柄をしっかりと把握できるようになり、早い段階で、そのことを親と共有化できれば、彼らにとって、より、違和感なく受け入れられるようになるだろうとしています。
決めかねている親が心配するのは、子供がそのことで、友人や自然妊娠で生まれた兄弟とは違うという感覚をもったり、他人にそのことを話しはしないかというもののようです。
研究グループや不妊クリニックは、この問題については、治療前のカウンセリングや他の方法を通してサポートしていきたいとしています。
コメント
体外受精や顕微授精を受けるということは、とにかく、子供が欲しい、という一点に頭がいっていますから、その後、出生の経緯を子供に話すかどうかまでは、なかなか、考えていないのではないでしょうか。
ところが、いまや、高度な生殖医療によって生まれる子供の数は、全体の出生数の60人に1人くらい割合であると言われるほどになり、治療によって子供を産むことが、珍しいことではなくなってきたことを考えると、このような問題も考えていく必要があるのかしれません。