低体重で出生した女性は不妊になりやすい

妊孕性に影響する因子

2005年04月29日

American Journal of Epidemiology Apr 2005 161 725~733

スウェーデンで実施された調査によりますと、1,500グラム以下の低体重で出生した女性は、26%妊娠しにくくなることが判明しました。

これまでも、早産や低体重での出生児は、高血圧や2型糖尿病などの生活習慣病にかかりやすいと言われていました。また、専門家によっては妊孕性(妊娠する力)への影響も指摘されてきました。

医学専門誌「American Journal of Epidemiology」の4月号に掲載されたスウェーデンの調査研究は、1973年から1975年の間に出生した女性、148,281名を対象として実施されたもので、それによりますと、1,500グラム以下の低体重で出生した女性は、そうでない女性に比べて、26%の割合で妊娠しにくいことが分かりました。

研究グループのリーダーは、たとえ低体重で出生した女性でも、決して、不妊症になる運命にあると考える必要はなく、不妊になるのは、さまざまな要因が絡みあうものなので、低体重で出生したということよりも、喫煙や飲酒等、生まれてからの生活習慣のほうが、不妊への影響度は高いと考えられると指摘しています。

コメント

今月はじめに日本でも藤田保健衛生大学のの調査で、排卵障害の女性の平均の出生時の体重が、2,490グラムで、そうでない女性の3,200グラムを大きく下回っていることが判明、報告されています。

また、2,500グラム以下の低体重出生児は、増加傾向にあり、2003年では、全出生数に占める割合は、9.1%とされています。
報道でも指摘されているように、低体重の出生は生活習慣病にかかるリスクが高くなることはかねてから指摘されているところで、最近になって、相次いで、不妊との関連性が言われるようになりました。

この状況を重くみた厚生労働省は、妊婦向けの食生活指針を作成する方針のようです。

生活習慣病にしろ、不妊症にしろ、リスクは高まるというものの、決して、低体重だけが原因でかかるわけではありません。報道でも指摘されているように、十分に個人のケアで予防することは可能であること、正しく理解、認識しておかなければなりません。

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