バッファロー大学の研究者による調査研究では、18人の喫煙男性の精子と正常な精子を比較し、調べたところ、受精のプロセスに必要な卵子と結合する力が弱かったことが分かりました。
研究者は、ヘビースモーカーの生殖能力の低下は深刻だとし、男性は、喫煙によって精子のDNAがダメージを受けること、さらに、子供にダメージを受けたDNAが引き継がれることを知るべきだとし、警鐘を鳴らしています。
対象となった男性は、2年以上、1日に4本以上のタバコを吸っており、平均で、15年タバコを吸っていました。
実験では、喫煙男性の精子と精子提供者からの正常な精子を、2~3時間、卵子と混ぜ合わせました。
結果、65%が卵子の表面の膜にしっかりと結合しましたが、18人の喫煙者のうち、12人の精子は失敗しました。それらの精子は不妊ではないのですが、受精能力が正常の4分の1しか認められませんでした。他の6人の喫煙男性の精子は正常でした。
喫煙量との関連を調べるために、それぞれの男性の1日に吸うタバコの本数と、タバコを吸い始めてからの年数をかけて数値を算出したところ、16~750と広い範囲に分布していました。
200~750の11人の男性の精子は、18%しか結合しなかったのに比べて、残りの7人は16~180で、71%が結合しています。
他の細胞と同様、精子もまた、ニコチンを認識し、反応する受容体をもっており、これまでの研究では、精子にニコチンと接触させたところ、3つの精子の重要な機能が変化したといわれています。
ただし、ニコチンの精子の生殖能力への影響については、様々な意見があるとのことです。
コメント
これまでは、喫煙によって、精子の数や運動率が低下することが言われていましたが、今回は、試験管内の実験ではあるものの、たくさんのタバコを吸う男性の精子ほど、受精能力が低下していることが、分かったようです。