子宮内膜症は、本来は子宮の中だけにある子宮内膜のよく似た組織が、何らかの原因で子宮の筋肉や子宮以外の発生し、生理の度に出血を繰り返す病気ですが、消化管の表面に発生することがあり、強い痛みを伴い、不妊の原因にもなり得ます。
これまでの報告では、いわゆる、腸管子宮内膜症の女性は、開腹手術によって、妊娠率が改善されることは明らかにされていますが、体にかかる負担が最小限に抑えられる腹腔鏡手術後の妊娠率についての報告はありませんでした。
パリの病院で実施された調査研究では、妊娠を望んで腹腔鏡手術を受けた22名の腸管子宮内膜症の女性を対象に、術後24ヶ月間に渡って追跡調査しました。
その結果、10名(45%)の女性が、平均術後8ヶ月で妊娠しました。
10名の女性がトータルで12回妊娠し、自然妊娠が9例、体外受精によるものが3例で、自然妊娠のうち、7例が自然分娩、1例が帝王切開で、1例が妊娠中です。
体外受精による妊娠例のうち、1例が流産、1例が双子の妊娠中、そして、1例が三つ子でしたが、2人が出産されました。
生児の出産率は82%でした。
コメント
子宮内膜症は月経のある女性の数%から10数%程度の割合でもっており、不妊の原因としても。最近、増加傾向にあると言われています。
なぜ子宮内膜が子宮以外の場所にできるのか、その原因は諸説あるようですが、本当のところはよく分からないようです。
実際のところ、その病変の部位や程度によって、不妊の原因になりうるのか、そして、治療方法も変わってきます。生殖能力を温存して病変を取り除く手術の場合、腹腔鏡手術が一般的になってきました。
今回の報告は、子宮内膜症の中でも腸管子宮内膜症の術後の妊娠率が報告されていますが、このような報告は、治療を検討する際に参考にできるものです。