凍結卵子バンクで購入した卵子で初めての出産(アメリカ)

不妊改善・生殖医療関連

2006年01月03日

Medical News Today

endyとJared Kennedy夫妻は、ケンタッキー州レキシントンのケンタッキー大学チャンドラーメディカルセンターにて、念願の2005年12月31日に女の子を授かりました。

彼らは、世界で初めて、商業的に提供されたドナーエッグ(提供卵子)を、ケンタッキー州レキシントンとアリゾナ州フェニックスに拠点を持つ会社(CEI)から購入し、夫の精子と体外受精させ、妊娠、出産した最初の夫婦になりました。

男性不妊のカップルは、既に、精子バンクから凍結した提供精子を購入、利用できるのは、精子を損傷せずに凍結、解凍する技術のおかげですが、女性の卵子(未受精卵)の凍結は最近までは困難とされていました。

ところが、上記のCryo Eggs International(CEI)は、不妊カップルが、凍結卵子バンクから卵子選んで購入すれば、既に、世界中のどこでも届けるサービスを提供しています。

世界で初めての凍結卵子バンク開設は、CEIの技術責任者であるJeffrey Boldt , PhDによって開発された、卵子の凍結技術によって可能になったとのことです。

そして、妊娠率は新鮮胚と同等になってきたと報告されています。

凍結しない卵子の提供自体は、既に一般的で、2001年には、アメリカでは、12,000以上の女性が卵子の提供を受けています。

CEIのバンクから凍結卵子を購入すれば、これまでのように、卵子を提供する女性と受ける女性の周期をあわせる必要はなくなり、卵子を提供する女性がどこに住んでいても問題なく、また、提供を受ける女性の都合でいつでも好きなタイミングで移植が可能になって、さまざまな煩雑な事や出費を避けることができるようになります。

さらには、卵子を凍結して提供する利点として、それまで、感染症のリスクを低下させることができることがあります。
CEIに卵子を提供する女性は、FDAの要請により、採卵する30日以内に感染症にかかっていないかどうかのチェックを受けます。
さらに、凍結してから6ヶ月間、検疫され、卵子提供者は、再度、HIVやその他の感染症のチェックを受けた後、問題のない卵子のみが販売されるようになります。

CEIの特徴の一つとして、自らの不妊経験や卵子の提供を受けた経験をもとに、創設に参画した人が数人いることです。
例えば、CEOのDiana Thomasは、提供卵子によって3人の子供をもうけています。
そして、その経験を生かして、CEIを設立するまでの9年間、国際的な提供卵子のプログラムを運営していました。

コメント

日本では、卵子の提供を受けることは、学会のルールによって認められていませんので、直接の参考にはならないニュースではありますが、アメリカでは、主に高齢を理由に、卵子の生殖能力が低下した場合、若い女性から卵子の提供を受けて、妊娠、出産を目指すことは一般的な選択肢になっています。

この報道は、ビジネスとして、凍結した卵子を販売する会社があって、今回、その卵子を購入して、妊娠、出産に成功したことが報じられています。

ただし、専門家によっては、世界で初めてというのは疑わしいとする考えもあるようです。

この会社では、卵子を提供する女性には、2,000から4,000ドルの謝礼をするそうです。そして、今回、出産に成功した夫婦は、7つ凍結卵子を20,000ドルで購入したとのことです。

記事中にもありますが、受精前の卵子を損傷なしに凍結、解凍することが、受精卵や精子に比べて、困難であったのですが、その技術の発展によって、ほぼ、卵子の損傷なしに、凍結、解凍が可能になったことから、このようなビジネスが可能になったものです。

この会社のほかにも、ボストンのExtend Fertilityという会社は、女性が、自分の卵子を凍結しておいて、妊娠を希望した将来にそれを解凍して利用するサービスを提供しています。

アメリカでは、生殖補助医療は、ここまで、現実になっているようです。

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