糖尿病に関連する遺伝子が不妊の原因になる可能性

不妊改善・生殖医療関連

2006年02月28日

the Journal Endocrinology

糖尿病の研究に携わる研究者が、女性の不妊原因の1つを突き止めた可能性があると、内分泌関連学術誌「the journal Endocrinology」に 発表しました。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究グループは、特定の遺伝子が欠如したマウスは、糖尿病の症状を呈するのみならず、排卵しなくなることを確認しました。

不妊症の女性が排卵しないことや卵子が十分に成熟しないことの原因はよく分っていませんが、このほど発表された実験で判明したことは、そのような原因不明の不妊症のメカニズムの解明の手がかりになる可能性がありそうです。

実験は1型糖尿病を引き起こす遺伝子とタンパク質の働きを調べることを目的に実施されたものでした。
この遺伝子は、IAー2とIA2betaとして知られる2つの遺伝子で、糖尿病にみられる血糖値の調節を困難にさせることに関連するたんぱく質を含みます。

以前の研究では、これらのたんぱく質と関連する自己抗体が調べられており、1990年代には、IA-2に対する自己抗体のレベルが高いほど、1型糖尿病を発症するリスクが高くなることが確認されています。今では、この抗体の測定が1型糖尿病の診断や検査に用いられています。

NIHの最新の研究で、IAー2やIAー2betaが欠損したマウスをつくり、さまざまな機能がどのように変化するのかを調べました。

その結果、 IAー2とIAー2betaが欠損したマウスは、血糖の代謝に問題を引き起こすだけでなく、排卵が止まり、不妊になりました。

研究者は、遺伝子の欠損は、視床下部に影響を及ぼし、排卵を促す黄体化ホルモンの産生能力を低下させたのではないかとみています。遺伝子欠損マウスに黄体化ホルモンを投与したところ、排卵が起こるようになったからです。

この研究の結果、これらの遺伝タンパクは、不妊にかかわっている可能性があることを示唆するものであるとしています。

コメント

血糖の代謝異常と排卵障害の関係は、これまでも指摘されているところです。

今後の研究成果に期待したいところですが、食事面においても、急激な血糖値の上昇を招くような食生活は、絶対に、 見直す必要があるように思います。

キーワード