不妊の原因によっては子宮外妊娠のリスクが高まる

不妊治療のリスク

2006年03月08日

Obstetrics and Gynecology

卵管内やその周囲、子宮内膜の炎症等に不妊の原因がある場合、体外受精をはじめとする高度な治療を実施した際に、本来、子宮内に着床すべき受精卵(胚)が、子宮の外、そのほとんどは、卵管、特に卵管膨大部とよばれるところに着床することでおこる、子宮外妊娠になるリスクが高まることが、アメリカの疾病管理センター(CDC)の調査で判明しました。

子宮外妊娠は、ほとんどが、卵管内に着床する"卵管妊娠"で、子宮の外では、たとえ、着床しても、胎児が正常に育ち続けることは出来ず、卵管の破裂を招き、酷いケースでは母親の命にかかわる事態に発展する可能性もあります。初期の子宮外妊娠の場合は、薬物療法で、胚を消失させますが、場合によっては、外科的な治療が必要になることもあります。

調査は、1999年から2001年の間の高度生殖医療成績を分析することによって、子宮外妊娠の発生要因を調べました。

報告されている94,118の妊娠の内、2.1%が子宮外妊娠で、高度生殖医療以外の全ての妊娠では、2%でした。

そして、不妊原因からみた場合、卵管や子宮の異常による高度生殖医療では、リスクが、38%から168%に跳ね上がっていることが 明らかになりました。

また、治療方法からみた場合は、受精卵を卵管に移植するZIFTでは、子宮外認妊娠のリスクが78%高くなっていました。

さらに、移植する胚の数からみた場合、3個以上の胚を戻した場合に、同様にリスクが高まっていました。

母親の女性の年齢や流産の経験の有無、他の高度生殖医療の治療法では、リスクの上昇は確認できませんでした。

コメント

もともと、自然な妊娠に比べて不妊治療、それも体外受精のような高度な不妊治療を受けた場合に、子宮外妊娠のリスクが高まること、また、今回の報告にあるように、卵管や子宮やその周辺の炎症や癒着が原因で多く発生することも、よく知られていました。

ただ、今回の報告は、大規模の対象で確認したことに意義がありそうです。

もちろん、報告されている原因以外の子宮外妊娠の要因も存在しますが、おおまかな傾向をつかんでおくことは大切なことのように思います。

■参考サイト:子宮外妊娠

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