体外受精を受けた親子への追跡調査

不妊治療のリスク

2006年04月18日

Fertility and Sterlity Vol.85,issue3,P.610-618 Mar.2006

体外受精によって出生した子どもは、概ね、家庭や学校での社会生活に適応していることが、イギリスで実施されたの追跡調査によって明らかになりました。

遺伝的な背景による相違、要するに、卵子の提供を受けた体外受精、精子の提供を受けた体外受精、そして、両親の卵子と精子を使った、通常の体外受精を受けた、それぞれの家庭でも、大きな相違はなかったとのことです。

また、卵子の提供を受けた母親、すなわち、子と遺伝的な繋がりがない母親よりも、精子の提供を受けた母親、子と遺伝的な繋がりがある母親のほうが、子どもへの感情的なかかわりが深かったとしていますが、卵子の提供を受けた体外受精児は、社会的にも精神的にも、順調に成長しているとしています。

調査方法は、卵子の提供を受けた17の家庭、精子の提供を受けた35の家庭、そして、34の通常の体外受精を受けた家庭の内、子どもが12歳である家庭を対象に、母子にインタビューを実施しました。

また、子どもに出生の形態を話したのは、卵子の提供を受けた家庭では17のうち4家庭のみ、精子の提供を受けた家庭では35のうち2家庭にとどまっており、34のうち26家庭が子どもに話している通常の体外受精に比べれば、大変、 少数であったことが分りました。

コメント

体外受精等の不妊治療を受ける際、さらには、卵子や精子の提供を第三者から受ける際には、肉体的なリスクもさることながら、精神的になんらからの悪影響が、将来的にみられないか、そんな心配は当然のことと思われます。

今回の調査では、子どもの精神的な成長だけでなく、母親や父親との関係等もインタビューによって、8年前に調査した家庭を、再度、 追跡調査しています。