日本化薬株式会社がドイツのゼンタリスから輸入・製造し、塩野義製薬株式会社が販売、2006年9月の発売を予定とのこと。
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体外受精や顕微授精では、治療の成功率を高めるために、排卵誘発剤によって卵巣を刺激し、多数の卵胞を育て、採卵します。
その際に、採卵する前に排卵が起こってしまうのを避けるために、排卵を起こすLHサージを抑え、排卵を止めておいて、卵巣刺激を行い、ベストなタイミングで採卵を実施するのが一般的です。
これまで日本で認可され、使用されてきたLHサージを抑える薬は、点鼻薬のスプレキュア等のGnRHアゴニスト製剤ですが、このGnRHアゴニストは、卵巣刺激の方法によって異なりますが、最も一般的なロング法では、約3週間もの長期間、1日に3回の使用が必要です。
ところが、注射薬であるGnRHアンタゴニストでは、4日間打つだけで済むこと、また、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の発生が少なくなる長所があります。
既に、1990年代から海外では使用されており、北欧では、体外受精の治療周期の8割は、この製剤が使われています。
これまで、日本では認可されていなかったことから、医師による個人輸入でしか使うことが出来ませんでした。
今回の承認により、日本でも、将来的には、この GnRHアンタゴニスト製剤による排卵抑制が主流になると見られているようです。
高度な生殖補助医療を受ける患者にとっては、朗報と言えます。