今年の学術集会長であるPaul Devroeyは、開催にあたっての取材に対して、現在の高度生殖医療における課題として、高度な生殖医療においては4分の1が母子の健康リスクの高い多胎妊娠であることから、比較的若い患者では選択的単一胚移植を実施することによって、多胎妊娠率を低下させることが重要なテーマであると話しています。
また、体外受精や顕微授精で生まれた子どもの長期に渡るリスクついては、まだまだ明らかになっていないとして、親や小児科医の協力を仰ぎながら、さらなる調査が必要であると述べています。
コメント
体外受精や顕微授精などの高度な生殖医療は、治療中の女性の身体への負担や高い費用がかかることに加えて、多胎妊娠が増えること、また、子供への長期に渡る影響が、まだまだ、これまでの子供への追跡調査が不十分であることから、明確には把握できていないことも知っておくべきだと言えます。
ただし、多胎妊娠については、子宮に移植する胚の数を1つにすることで、妊娠率にさほど影響せずに、多胎妊娠の確率が大きく低下することが、これまでの研究で明らかになってきていますし、日本の施設でも条件が合えば、単一胚移植に施設が増えてきているようです。
高度な生殖医療を受ける際には、施設の妊娠率だけでなく、多胎率もチェックしておくべきでしょう。