アトランタのEmory UniversityのSarah Berga教授は、ホルモン剤等の薬剤に頼ることなしに、心理療法や食事や運動等の生活習慣の改善によって、ストレスが身体に及ぼしていた影響を少なくすれば、月経が復活し、生殖力も取り戻すことが出来ると述べています。
男性にとっても、女性にとっても、ストレスが不妊を招くことがあって、ストレスとうまくやっていくことで、不妊を改善することは可能であるとしています。
教授は、ストレスが無月経になって、排卵しなくなることがあるが、1つの大きなストレスがあるよりも、小さなストレスがたくさんあるほうが生殖活動への及ぼす悪影響が大きいと言います。
教授の研究チームは、血中のコルチゾール値を計測して、日常のストレスが原因と考えられる、半年以上月経が止まっている適正体重にある16名の女性を、8名ずつ、2つのグループに分けました。
一方のグループには20週間に渡って、食生活や運動等の生活習慣の改善を指導するとともに、心理療法を受けてもらい、もう一方のグループは、なにもしませんでした。
その結果、心理療法を受けたグループでは、8名中、6名の女性が、完全に月経が復活し、排卵が起こり、1名には、月経の復活の兆候が見られたとのこと。そして、月経が復活した6名のうち、 2名が、妊娠しました。
それに対して、療法を受けていないグループで排卵が復活したのは、8名中、1名だったとのこと。
研究チームは、さらに、大規模の試験を計画しているとのことです。
コメント
今回発表された試験は、小規模ではありますが、明確な結果が出たようです。
排卵障害は、不妊原因の4分の1程度を占めると言われていますが、その原因は、ストレスだけではありませんが、ストレスを含めた生活習慣が影響していることは間違いないようです。
であれば、ホルモン療法による治療を始める前に、もちろん、年齢にもよりますが、ストレスをうまく対処するような方法や生活習慣を改めることに取り組む価値は十分にあると言えます。
また、たとえ、治療を始めたとしても、自然な療法を併用することで、治療の効果を最大にすることも可能ではないでしょうか。