それによりますと、高齢の母親は若い母親に比べて、ストレスや健康上のリスクが低かったことが明らかになりました。
ただし、子供の成長とともに、母親がより高齢化することの影響が考慮に入れられていないと、指摘する専門家もいます。
アメリカの南カリフォルニア大学(USC)の研究チームの調査によるものですが、1992年から2004年までの間に、南カリフォルニア大学の提供卵子のプログラムを通じて、不妊治療を受けて母親になった30代や40代、50代の150人の女性を対象に実施されたものです。
調査は、不妊治療で出産した母親の肉体的、精神的な役割、そして、親であることで受けるストレスを調べることを目的に実施されました。
結果は、世間のイメージに反して、たとえ、50代で子供を出産した女性でも、若い母親に比べて、親としての資質に欠けるところはなく、親であることで受けるストレスは、若い母親に比べて低かったというものでした。
このことから、調査に携わった研究者は、小規模な調査研究ではあるが、親としての能力や子育てから受けるストレスという観点から言えば、提供卵子を使った体外受精による超高齢出産を制限すべきでないと述べています。
ただし、対象となった高齢の母親のほとんどには、協力的な若いパートナーの存在があったとしています。
これに対して、シェフィールド大学の教授は、問題は、50代で母親になることがどうかということではなく、子供が18歳になった時には、必然的に、母親は70代になっているわけで、不妊治療を受ける女性の年齢に制限を設けるべきだとは思わないが、自分の母親の年齢が、周囲の子供の祖母の年齢にあたる子供のことを考えに入れるべきで、子供の福祉の問題を指摘しています。
コメント
日本では、まだまだ、アメリカやヨーロッパのように、提供卵子を使って50代の女性が、超高齢出産をするということは、それほど、公になってはいませんが、先日、諏訪マタニティクリニックの根津院長による代理出産の実施の公表によって、学会でも代理出産の是非について議論がスタートしたようです。
このように、高度生殖補助医療の適用範囲の拡大の傾向が強まることによって、近い将来、今回、発表されたような超高齢出産に伴うさまざまな問題が現実化すること予測されます。
いずれにしても、ひとくくりのルールを適用すれば済むというような単純な問題ではないようです。