調査は、1991年から1999年の間に、妊娠、もしくは、妊娠を試みた看護師の健康調査(the Nurses' Health StudeⅡ)に参加した18,555人を対象に、食事に関する情報を分析することによって実施されました。
8年間の追跡調査期間中に排卵障害による不妊の女性は438名でしたが、鉄のサプリメントを摂取していた女性は、摂取していない女性に比べて、40%排卵障害による不妊になりにくいことが判明しました。
ただし、不妊のリスク低下への影響は、鉄の種類によって異なり、ヘム鉄の摂取では影響がみられず、非ヘム鉄の摂取が多いほど、不妊のリスクが低下することが明らかになりました。
調査に携わった研究者は、生殖年齢にある女性は、鉄が不足しがちであることから、妊娠を望む女性は、マルチビタミン等のサプリメントで鉄を補充するのがよいとしています。
コメント
女性の妊孕性は鉄の摂取量だけで決まるものではありませんので、とにかく、鉄のサプリメントを摂取すればよいというわけではありませんが、研究報告で指摘されている「非ヘム鉄」は、動物性のヘム鉄とは異なり、大豆やほうれん草に豊富な植物性です。
そして、ヘム鉄に比べて、非ヘム鉄は吸収されにくく、吸収率は、他の微量栄養素の量、例えば、ビタミンCなどに影響されます。
要するに、ビタミンCが不足していれば、非ヘム鉄の吸収率が低下するということです。
いずれにしても、鉄は最も不足しやすい微量ミネラルの1つであり、中でも、非ヘム鉄は顕著です。
まずは、バランスのよい食生活に留意し、出来れば、良質なマルチビタミンミネラルのサプリメントで補充することが大切です。