研究の対象としたのは、2つの胚盤胞移植で、単一胚の移植や凍結融解胚、提供された胚、着床前診断によって選別された胚のよる移植は、対象から排除しました。
1,294治療周期のうち、864周期で妊娠(心拍確認)が確認されました。
そのうち、110周期は自然流産し、564周期は出産にいたり、190周期は現在、妊娠中です。
採卵前のhCG注射時に超音波検査によって子宮内膜の厚さが計測したところ、妊娠にいたった周期の内膜厚(平均11.9mm)のほうが、妊娠できなかった周期の内膜厚(平均11.3mm)よりも厚みが大きかったことが判明しました。
子宮内膜の厚さが大きいほど妊娠率も高まりました。
厚さが8ミリの場合の妊娠率は53.1%であったのに対して、16ミリになると妊娠率は77.0%に上昇しました。
同様に生産率(出産にまでいたった確率)は、8ミリの場合は44.9%であったのに対して、16になると67.6%に上昇していました。
研究に携わった研究者は、子宮内膜の厚さが最も薄いグループでも比較的高い妊娠率を得ているので、子宮内膜が薄いからといって、移植をキャンセルする必要はないと強調しています。
子宮内膜の厚さと妊娠率には明らかな関連性が確認されるものの、子宮内膜が6~7ミリの周期でも、質のよい胚盤胞が移植されれば50%の妊娠率は得られたとしています。
コメント
これまでも、子宮内膜の厚さが厚いほど妊娠率が高いという研究報告は多数ありましたが、今回の報告は最も規模が大きい研究によるものですから、より信頼性が高いものと考えられます。
そして、結論も、従来の報告と同様、採卵前のhCG注射時の子宮内膜の厚みが厚いほど妊娠率も高くなるというものでした。
ただし、妊娠にいたる要因は、決して、子宮内膜の厚さだけではないことを理解しておく必要はあります。
なぜなら、たとえ、6、7ミリでも胚の状態がよければ、高い妊娠率が得られているからです。
子宮内膜の厚さははっきりとした数字で出ますから、とても気になるものですが、たとえ、薄いといわれても、さほど、心配したり、神経質になる必要もないように思います。