提言では、単一胚移植を実施することによって 、妊娠率を低下させることなく、多胎妊娠を劇的に減らすことが出来るとしています。
ロンドンのKings CollegeのPeter Braude教授は、専門家のグループの長として、多胎妊娠は、体外受精の唯一最大のリスクであり、患者やクリニックは妊娠率を高めるために、2つの胚を戻す傾向があるけれども、移植する胚の数を1つにすることで、妊娠率を下げることなしに多胎妊娠を少なく出来ると述べ、戻す胚の数が2つでも1つでも妊娠率は同じであるとしています。
専門家グループは、不妊治療における多胎妊娠率を5~10%に抑制すること、そして、母親になる女性の年齢や得られた受精卵の質、その他の要因で、双子を妊娠する可能性が高いケースでは移植する胚の数を1つにすることを提言しました。
Braude教授は、必ずしも、単一胚移植がベストな選択でない場合もあると付け加えています。
コメント
イギリスでは体外受精で子供を出産した4組に1組が双子を出産しており、自然妊娠の10倍の割合だそうです。
専門家グループは、双子を妊娠、出産することは、以下のリスクにさらされることになるとしています。
・死産の割合が3倍
・出産後に死亡する割合が4倍、
・脳性小児マヒの割合が6倍、
・母親が妊娠高血圧症にかかる割合が高くなる
・早産の割合が50%高くなる。
日本では2004年度の体外受精での多胎妊娠率は17.5%でした。
多胎妊娠防止のため2個胚移植が主流のようですが、単一胚盤胞移植を実施する施設も増えてきているようです。
いずれにしても、不妊治療での最大のリスクは多胎妊娠であることは、日本でも同様で、単一胚移植は、多胎防止の唯一、最も効果的な方法であるようです。