調査は、1991年10月から2005年6月までの間に、ニューヨークのコーネルメディカルセンター病院にて、母親になる女性が44歳以上で、自分の卵子で、かつ、新鮮胚による体外受精の全治療周期を対象に実施されました。
提供卵子や凍結融解胚による体外受精は除外しました。
条件に適合したのは、288治療周期で、母親になる女性は、45~49歳で、ほとんど(72.9%)は45歳でした。
治療成績は以下の通りでした。
57名の女性(19.8%)は、FSHレベルが高まったり、卵巣嚢腫のために治療がキャンセルされました。
治療をスタートした231名の女性のうちの70名(30%)は、卵巣を刺激しても3個以下の卵胞しか育たず、採卵を断念したため、161名の女性が採卵しました。
平均採卵数は6.8個で、受精に成功した個数の平均は5.4個、そして、平均移植胚数は3.2個でした。
161名のうち、妊娠したのは34名で、妊娠率は21.1%でした。
ところが、34名のうち、85.3%の29名が流産しました。
妊娠が継続して出産まで至ったのは5名で、生産率は3.1%でした。
出産できた女性は、いずれも45歳で、卵巣を刺激することで、少なくとも5個以上の卵胞が育った女性でした。
研究に携わった研究者は、高齢で自分の卵で体外受精を受ける女性は、高い流産率を覚悟しておく必要があると指摘しています。
高齢女性の体外受精成功の条件は、45歳までで、正常な卵巣予備能力が備わっていて、卵巣を刺激することで最低でも5個の卵胞が反応することであるとしています。
コメント
妊娠する力に最も影響を及ぼすのは年齢です。
そして、それは、体外受精等の高度な治療を受けても変わりありません。
高齢女性で不妊治療に挑戦される方々にとって、今回の研究報告はある程度参考になるのではないでしょうか。
年齢的な目安は45歳までとしています。
ただ、卵巣の予備能には個人差がありますから、刺激に卵巣が反応して、5個以上卵が育つこととしています。