フランス海岸松樹皮エキスは子宮内膜症の痛みを軽減する

生活習慣・食事・サプリメント

2007年03月15日

the Journal of Reproductive Medicine

フランス海岸松樹皮エキスは子宮内膜症の痛みを軽減させる働きがあることを、金沢大学医学部において実施された試験によって明らかになりました。

試験実施前6ヶ月以内に子宮内膜症の手術を受けた58名の女性を2つのグループに分けて、1つのグループには、フランス海岸松樹皮エキスの30mgカプセルを1日に2回服用してもらい、もう一方のグループにはGn-RHアナログ製剤を使ったホルモン療法を実施、リュープリンを6ヶ月間、4週間毎に6回、3.75mg皮下注射しました。

被験者の女性は試験前、試験開始後4、12、48週時点、そして試験終了時に、子宮内膜症による痛み等の症状の測定を実施しました。

試験開始4週間で、フランス海岸松樹皮エキス摂取グループでは、ゆっくりではあるが、確実に、痛み等の症状が軽減したのに対して、ホルモン療法グループでは、すぐ、かつ、確実に症状が緩和されましたが、6ヶ月後に副作用を避けるためにホルモン投与を中止した後は再発しました。

また、フランス海岸松樹皮エキス摂取グループ中、5名の女性は試験期間中に妊娠したとのことです。

コメント

子宮内膜症の治療はその程度や病変の場所や状況によって、さまざまな治療法があります。

Gn-RHアナログ製剤を使ったホルモン療法によって、
半年間、排卵を抑制し、月経を止める方法は、子宮内膜のよる痛みを軽減するとされています。

Gn-RHアナログ製剤は排卵をおこすよう指令を出す脳の中のホルモン中枢に一時的にブレーキをかけ、
排卵をストップさせます。
その結果、卵巣からエストロゲンやプロゲステロンの分泌が低下し、
内膜症を一時的に萎縮させるからです。

ただし、副作用のために6ヶ月間しか治療できません。

このようにGn-RHアナログ製剤を使ったホルモン療法は、効果的ではありますが、
長期に渡る治療が不可能なこと、
また、治療中は排卵がストップしますから、妊娠は期待できません。
いずれにしても、一時的な対症療法的な治療なわけです。

今回、フランス海岸松樹皮エキスの痛みの軽減作用が確認されましたが、
私たちのこれまでの経験からも子宮内膜症だけでなく、
通常の生理痛の緩和にも効果的なようです。

ただし、だからといって、ホルモン療法の代替的な治療にはなり得ません。

また、このサプリメントが子宮内膜症そのものの治療には、決して、なり得ません。

副作用がなく、抗酸化作用や血流改善等の健康効果も期待できる、
補助的なセルフケアとして考えるべきだと思います。

子宮内膜症はその程度によって、不妊への影響は、決して、一概には言えません。

子宮内膜症と診断されながら、自然妊娠されている方も大勢おられますし、
卵管に癒着が及んで体外受精でしか妊娠が困難なケースもあります。

それぞれの状況に応じて対策を講じることが大切ですが、
フランス海岸松樹皮エキスは、あくまで、補助的なサプリメントとしては有用なように思われます。