その原因として考えられるのは、食肉牛に投与された成長ホルモンの影響ではないかとしています。
パートナーが妊娠しら1949年から1983年の間に生まれた387名の男性を対象に、精液を採取するとともに、食生活や生活習慣、また、母親の妊娠中の食生活について調べたところ、週に7回以上牛肉を食べた母親は41名で、その子どもの男性の精子数の平均は4310万と、母親が肉をあまり食べなかった男性の平均である5690万に比べて24%少なく、妊孕性が低かったことが分かりました。
研究者は妊娠中に食べた牛肉の残留成長ホルモンが、胎児の生殖能力に影響を及ぼした可能性を指摘しながらも、妊娠中の女性に牛肉を食べないようにアドバイスするものではないとしています。
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アメリカでは、食肉牛に、その成育を早めたり、肉質をよくするために、3種類の天然ホルモン(エストイラジオール17β、テストステロン、プロゲステロン)、3種類の合成ホルモン(ゼラノール、トレンボローン・アセテート、メレンゲストロール・アセテート)、合計6種類のホルモンの使用が許可されており、ほとんどの食肉牛に投与されています。
ところが、EU(ヨーロッパ共同体)では、残留成長ホルモンが、特に、幼児や胎児へリスクがあるとして、食肉牛へのすべてのホルモン剤の使用が禁止され、ホルモン剤を使用した牛肉の輸入も全面的に禁止されています。
アメリカは自国の食肉牛の輸入を禁止されたことから、WTOに提訴したところ、勝訴したものの、EUは依然として、ホルモン剤を使用した食肉牛の輸入を認めていません。
日本はというと、使用は認められているものの、国産牛にはほとんど使用されていませんが、ご存知のとおり、アメリカ牛については、狂牛病については規制したものの、成長ホルモンについては全く問題視されておらず、フリーで輸入、販売されているのが現状です。
環境ホルモンのリスクについては、このように国や地域によって判断が分かれるほど、そのリスクの評価は困難なもののようです。
おそらく、普段の生活においては心配するほどのことでもないようですが、成人には問題のないレベルでも、胎児や幼児には影響を及ぼす可能性を全く否定することは出来ません。
妊娠前の女性は自ら自己防衛するのが無難ではないでしょうか。
ただ、肉を食べるなということではなく、極端に肉ばかりを食べるような偏った食生活は避けること、また、出来ればアメリカ牛は避けて、国産牛を食べたほうが無難なように思います。