喫煙は運動能力の高い精子のDNAに損傷を与える

男性の妊娠させる力に影響を及ぼすもの

2007年05月11日

Fertility and Sterility Advance online publication

喫煙は運動能力の高い精子のDNAを損傷することが、スペインのバルセロナ大学の研究チームの試験で明らかになりました。

99人の精液を使って、スイムアップ法※による運動能力の高い精子の選別の前後に、喫煙者と非喫煙者の精子のDNAの断片化の程度を精子核クロマチン解析によって比較しました。

その結果、精子の選別前では喫煙者と非喫煙者の精子には違いがみられなかったのですが、運動能力の高い精子だけを選別した後では、喫煙者の精子は、非喫煙者のそれに比べて、DNAの断片化が顕著でした。

論文の著者は、喫煙の害によるDNAの損傷が運動能力の高い精子だけにみられることは、喫煙の男性の妊孕性への害が発見されないおそれがあると指摘しています。

※スイムアップ法
運動能力の高い精子を選別する方法の一種。培養液の中に精液をいれ、時間の経過とともに表面に泳いでくる精子を回収する。

コメント

喫煙は精子の数や運動率を低下させることは知られていますが、今回、喫煙は、運動能力の高い精子のDNAを損傷すると報告されました。

精液検査が良好でも喫煙による男性不妊が引き起こされている可能性があるということです。

運動能力の高い精子は、当然、卵子と受精する可能性が高いわけですから、タバコによってDNAの損傷を受けた精子による受精卵は、途中で成長を止めてしまう可能性が高くなります。

精液検査の結果にかかわらず、妊娠を希望する男性は禁煙するに越したことはなさそうです。

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