レプチンと原因不明不妊との関係

妊孕性に影響する因子

2007年06月27日

Journal of Reproductive Immunology doi:10.1016/j.jri.2007.04.001

食欲を抑制するホルモンで、生殖活動にも深く関わっているとされているホルモン「レプチン」は、原因不明の不妊に関わっている可能性が高いことが、トルコの研究グループの試験で明らかになりました。

試験は、原因がみあたらないにもかかわらず不妊期間が1年の女性27名(23~38歳で平均29.3歳)と、比較対照グループとして、直近の2年間で、妊娠、出産を経験した女性30名(19~39歳で平均28.9歳)を対象に、月経周期3日目の血液中のレプチンの濃度を測定しました。

その結果、原因不明不妊の女性のグループのレプチンの血中濃度の平均が7.0ng/miだったのに対して、対照グループのそれは、3.4ng/mlでした。

このことから、原因不明不妊の女性では、レプチンの濃度が高い傾向にあり、そのことが、不妊の原因になっている可能性があるとしています。

コメント

レプチンが、脂肪細胞や卵胞から分泌され、脳の視床下部に作用して、食欲を抑制したり、エネルギーの代謝を促進して、体重が増えるのを抑制することが知られています。

また、動物実験では、レプチンが欠損しているマウスは不妊になることから、レプチンが排卵をおこさせることに深く関わっていることが確かめられています。

人間でも、レプチンが不足することで、生殖機能に障害をおこしたり、逆に、多くなっても、卵巣機能にマイナスの影響を及ぼして、卵が育ちにくくなるとされています。

このことから、痩せすぎや太りすぎが排卵障害の原因になることの説明がつきます。

さらに、睡眠が不足すると、レプチンの分泌が少なくなつことが知られており、睡眠時間も妊孕性に大きく影響を及ぼす可能性も否定できません。