妊婦の食生活と子どもの口唇・口蓋裂のリスクとの関係

生活習慣・食事・サプリメント

2007年08月12日

Obstetrics and Gynecology 2007:110 P.378-384

肉をたくさん食べて、果物をあまり食べない妊婦は、口唇・口蓋裂の子どもが生まれる確率がほぼ2倍になることが、オランダの研究で明らかになりました。

ロッテルダムのErasmus Medical Centerの研究チームは、先天性異常の子どもを産んだした203名の母親と、異常のなかった子どもを産んだ178名の母親の出産14ヶ月後の食生活を比較しました。出産後も妊娠前後も同じような食生活に関する傾向があると判断してのことです。

その結果、肉中心で、果物をあまり食べない食生活を送っていた女性は、先天性異常のリスクが高くなるそのほかの影響を差し引いても、口唇・口蓋裂の子どもを出生する割合が、その他の女性に比べて 1.9倍であることが判明しました。

肉中心で、果物をあまり食べない女性は、その他の傾向として、肥満で喫煙、飲酒の習慣があり、その結果、ビタミンB群が不足しがちであると指摘しています。

バランスのよい食生活を送る女性では、口唇・口蓋裂の子どもを産むリスクが高くなる傾向はみられなかったとしています。

コメント

口唇裂とは、上唇が生まれつき裂けている状態ことをいい、口蓋裂は、口蓋(上あご)が生まれつき裂けている状態のことをいいます。

これまでの研究では、ビタミンB群(葉酸)が不足することで、口唇・口蓋裂のリスクが高くなることが指摘されていましたが、妊娠前後の食生活の傾向と口唇・口蓋裂の子どもが生まれるリスクとの関係が、今回の報告で指摘されました。

妊娠前後の食生活が生まれくるお子さんの健康状態を大きく左右することは、もはや、当然のことです。

ただ、口唇・口蓋裂が発生する原因は明確には特定されていません。要するに、なぜ口唇・口蓋裂が発生するのかはよく分かっていなくて、妊娠中の母親の栄養状態のその要因の1つではあるのでしょうが、決して、それだけではなく、それまでの生活習慣、そして、それ以外の未知の要因も深くかかわっているということです。

ですから、妊娠前の女性は、バランスのよい食生活を心がけること、また、喫煙や飲酒を避けることが大切なのですが、もしも、悲しく、残念なことに、お子さんが口唇・口蓋裂だったからといって、その原因が自分にあると責めることはナンセンスであること、また、現在の医療技術をもってすれば、その程度にも大きく左右されますが、外科的な治療が可能になっていることも付け加えておきます。

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