シェフィールド大学の研究チームは、最近、不妊クリニックに通院を始めた64名の男性と87名の女性に、自分が不妊であることをどのように認識しているのか、そして、不妊であることを周囲に打ち明けることについて、また、ソーシャルサポート(※)についてアンケート調査を実施しました。
その結果、自分が不妊であることについての苦痛は、女性のほうが男性よりも強く感じていましたが、より周囲の人間に自分が不妊であることを打ち明けていました。
それとは対照的に、男性は自分が不妊であることを苦痛に感じている人ほど、周囲の人間にはそのことを打ち明けていませんでした。
そして、不妊であることを苦痛に感じている人ほど、性別に関係なく、ソーシャルサポートとは無縁でした。
周囲の人々からの励ましや援助は、かえって、自分が不妊であることの不安や心配、そして、不妊であることの苦痛など、否定的なイメージを思い起こさせるもので、心配してもらうことをありがたく感じることよりも、否定的な要素を想起させるものでした。
女性の場合は自分が不妊であることを打ち明けることは、より苦痛に感じることになってしまうことがあります。
研究チームは、不妊に悩み人々のサポートという観点から言えば、単純に不妊であることをオープンにさせて、サポートしようと考えるべきではないと指摘しています。
ただし、同じ悩みをもつ人々に悩みを打ち明けることは、不妊であることの苦痛や不安を軽減させると考えられることから、患者グループによるセルフサポートの価値はとても大きいとしています。
※ソーシャルサポートとは?
家族や友人、周囲の人など、ある個人を取り巻くさまざまな人々からの有形・無形の援助のこと
コメント
不妊の悩みは、大変デリケートで、やはり、当事者でないと分からないことから、ただ、周囲に打ち明けて、助けを求めればよいというわけにはいかないようです。
同じように悩む人々が大勢いるということを実感すること、同じように悩む人々と話すだけでも、随分、精神的にはプラスになるようです。
※参考サイト
■NPO法人Fine セルフサポートグループ