提供卵による体外受精の治療成績は年齢に関係しない

不妊改善・生殖医療関連

2007年08月24日

Fertility and Sterility Vol.88 Issue 2 P.342-349

卵子の提供を受けた体外受精の治療成績は、治療を受ける女性の年齢や卵子の提供を受けたこと、また、精子の問題に影響されないことがスペインの研究で明らかになりました。

研究は、1995年から2005年に、スペインで実施された提供卵による体外受精、10,537周期を対象に実施されました。

治療成績は、胚移植あたりの妊娠率は54.9%、移植率は27.0%、臨床妊娠率は50.3%、流産率は19.0%でした。

移植あたりの妊娠継続率は40.2%、双子や三つ子以上の多胎率は、それぞれ、39.0%、6.0%でした。

10年間の推移は、移植胚の平均個数は3.6個から1.9個に減ったのに対して、移植率は16.7%から38.3%に増加、継続妊娠率は31.0%から44.3%に改善しました。

累積妊娠率は卵子の提供を受けたこと、また 、 レシピエント(提供を受けた女性)の年齢、さらには、男性不妊の程度には影響を受けませんでした。

3回の累積妊娠率は87%、5回のそれは96.7%でした。

コメント

通常(自己胚を用いた)の体外受精の成績は母親になる女性の年齢が高くなるほど、治療成績は低くなることは、宿命的に、避けられません。

ところが、提供胚を用いた体外受精では、卵子の提供を受けて治療を受ける女性の年齢には影響されないことは、アメリカの高度生殖補助医療の治療成績から明らかになっていました。

今回の報告は、ヨーロッパで最大の規模の試験で、同様の結果が出たことが報告されています。

このことから、体外受精の成績を左右する最大の因子は卵子の年齢(質)であることが分かります。

何回か治療が不成功に終わると、着床環境に原因があるのではないかと疑いがちですが、着床側の問題はそれほど影響していないようです。

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