原因不明不妊はARTにステップアップする前に腹腔鏡検査を

不妊改善・生殖医療関連

2007年09月12日

Journal of Obstetric and Gynaecology Reserch Vol.33 Issue5 P.665-670

原因不明不妊の女性は高度な治療にステップアップする前に腹腔鏡検査を受けるべきであると、国立成育医療センターの医師グループが治療データを発表しました。

研究チームは、47名の原因不明不妊の女性の87.2%が、腹腔鏡検査によって、軽い子宮内膜症や骨盤内の癒着、卵管の障害が発見されました。

そして、治療後、23名の女性(48.9%)が妊娠しました。

年齢によって5つのグループ(25以下、26-30、31-35、36-40、41以上)に分けると、腹腔鏡検査後の妊娠率は、それぞれ、100%、75%、45.5%、27.2%、0%で、26-30のグループでは腹腔鏡検査後の妊娠率は、体外受精を受けた女性の妊娠率を大きく上回っていました。

このことから、原因不明不妊の女性は、高度な治療にステップアップする前に、腹腔鏡検査を受けることが強く勧められると結論づけています。

コメント

最近のデータでは、クロミフェンを使ったタイミング指導で4周期妊娠しなかった女性の68%は、骨盤内の病変があるとしています。

また、腹腔鏡検査をすると、94.7%の不妊女性に骨盤内病変がみつかるという研究報告もあります。

腹腔鏡検査は、直接、お腹の中をみるわけですから、それまで発見できなかった子宮内膜症や炎症、癒着などがみつかることも多いようです。

また、検査といっても、癒着や内膜症の病変を除去したり、お腹の中を洗浄したりといった治療も可能です。

今回の報告では、腹腔鏡検査後の妊娠率は高度な治療のそれを上回るとしています。

ただし、決して、手軽に受けられる検査ではなく、手術室で全身麻酔をかけて行います。