研究チームは、1998年から2005年までの間に、スタンフォード大学の病院で体外受精を受けた女性を対象に、新鮮胚と凍結融解胚を用いた胚盤胞移植による744の妊娠について調べました。
その結果、全体の子宮外妊娠は5例で、新鮮胚移植による妊娠での子宮外妊娠は1.8%(10/564)、凍結融解胚移植による妊娠での子宮外妊娠は2.8%(5/180)と、大きな差はみられませんでした。
研究チームでは、生殖医療の進歩にもかかわらず、体外受精の合併症の1つが子宮外妊娠であるとしたうえで、凍結融解胚移植では、着床するまでのタイムラグによって、子宮外妊娠のリスクが高まるとのまことしやかな仮説があるが、今回の試験で、凍結融解胚移植のほうが卵管に障害のある患者が多いにもかかわらず、子宮外妊娠のリスクは高くならないことが明らかになったとしています。
コメント
子宮外妊娠の発生率は自然妊娠で0.3~0.7%で、体外受精でのそれは2.02%とされていますから、子宮外妊娠は体外受精後の合併症の1つであると言えます。
日本産婦人科学会の発表によりますと、2005年度の高度生殖補助医療による治療法別子宮外妊娠の発生率は、体外受精で2.61%、顕微授精で1,29%、GIFTで3.23%、凍結融解胚移植で1.91%となっています。
このデータからも治療法の違いが子宮外妊娠の発生に影響する要因にはならないことが分かります。
子宮外妊娠の発生に影響を及ぼす要因としては、過去の卵管手術や子宮外妊娠、卵管留水腫、過去の骨盤内感染症等とされています。