1996年1月から1999年12月の間に、Leiden大学の病院で、顕微授精によって生まれた子ども(89名)と、比較対照群として、体外受精(92名)や自然妊娠(85名)で出生した同年の子どもの心身の健康状態を比べました。
子どもは5~8歳で、全員、多胎妊娠でなく、一人子でした。
その結果、親から報告された子どもの行動障害※については、差はみられませんでした。そして、顕微授精出生児に3名の自閉症、または、自閉症スペクトラム障害※の子どもがいました。また、問題行動※については、顕微授精と自然妊娠では違いはありませんでした。さらに、親の育児ストレスについても大きな差はみられませんでした。
自閉症については、さらに大規模な試験で確認する必要があるとしています。
研究チームは、5~8歳時点での顕微授精出生児は、心理社会学的には健全な生活をおこっていると結論づけています。
コメント
行動障害とは、他人の基本的な権利を侵害するような行動パターンを繰り返すことをいいます。
(メルクマニュアル 行動障害から)
自閉症スペクトラム障害とは、先天的な脳の障害で、社会性、コミュニケーション能力、想像力の領域で障害があることです。
問題行動とは、反社会的な行動のこととされています。
顕微授精の出生児への影響については、これまでは、身体の健康状態についての追跡調査が主だったようですが、この研究では、上記のような日常の行動について調べています。
大きな差はみられないということです。