カナダのモントリオールのMcGill UniversityのWilliam Buckettらは、344の妊娠で出生したIVM-IVF児(55人)、IVF児(217人)、ICSI児(160)を、自然妊娠出生児の対照群と比較しました。
その結果、出産時に帝王切開を要した割合は、IVM-IVF、IVF、ICSI、そして、対照群(自然妊娠)で、それぞれ、39、36、36、そして、26%で、ARTによる出生児の間では差は見られませんでした。
また、多胎妊娠率でもART間による差はありませんでした。
そして、先天性異常の発症率では、対照群に比べて、ARTによる出生児は、多少高かったものの、有意な差ではなく、ART間による差は見られませんでした。
これらの結果から、未成熟卵を体外で培養、成熟させることで、出生児へのリスクが高まることはないと考えられるとしています。
コメント
IVM-IVFとは、未熟卵体外成熟後の体外受精のことで、卵巣刺激を実施しないで、卵巣から未成熟卵を採りだして、体外培養することで成熟した卵子を、体外受精(または顕微授精)後の受精卵を胚移植する治療法です。
卵巣を刺激することで、主に、卵巣刺激症候群が発症しやすいPCO(多嚢胞性卵巣)に適応されるようです。
今回の研究報告は、未熟な卵子を体外で培養し、成熟させることで、何らかのリスクが発生するのかを確かめたものですが、特に、そのようなことはなかったようです。
ただし、この治療法は、どこの医療機関でも受けられるわけではなく、一部の施設に限られます。
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