研究チームは、8年間に渡り、17,544名の妊娠を希望する、または、妊娠した、そして、不妊経験のない女性の食生活や生活習慣のパターンを追跡調査しました。
その結果、食生活や生活習慣のパターンによって、排卵障害による不妊のリスクが低くなること、そして、その他の原因による不妊においても程度は小さいもののリスクが低下することが確認されました。
妊娠する力を高める食生活の特徴として、
・トランス脂肪酸よりも一価不飽和脂肪酸の摂取が多いこと、
・動物性たんぱくよりも植物性たんぱくを多く食べていること、
・精製度の低い穀物を食べていること、
・乳製品を適量食べていること、
・マルチビタミン(葉酸、鉄分を含む)のサプリメントを摂取していること等です。
妊娠する力を高める生活習慣としては、カフェインやアルコールを取り過ぎないこと、適度な運動をすること、そして、タバコは吸わないことでした。
そして、妊娠する力を高める食生活や生活習慣を多く取り入れていた女性は、そうでない女性に比べて、排卵障害による不妊になる確率hが66パーセント低く、その他の原因による不妊になる確率が27パーセント低いことが分かりました。
また、肥満度が高くなるほど、排卵障害による不妊にかるリスクが高まることも確認しています。
研究チームは、妊娠を希望する女性は、食生活や生活習慣を改善することで、より妊娠する力を高めることになると、結論づけています。
コメント
おそらく、食生活や生活習慣と妊娠する力の関係を調べた研究では、最も大規模で、精度の高いものではないでしょうか。
もちろん、なかなか妊娠しない原因には、卵管が通りにくいとか、感染症など、食生活や生活習慣が影響しないケースも少なくないでしょう。
ただ、妊娠する力という観点から言えば、最も大切なことは、卵子や精子が元気であることです。
特に、女性の場合には、質のよい卵子が排卵されるためには、規則正しい月経サイクルが基本になります。
もしも、サイクルが乱れている場合、対策は、ホルモン剤よる薬物療法になります。
ところが、ホルモン剤の使用は、あくまで、対象療法でしかありません。
大切なことは、身体の力でサイクルが復元することです。
そして、そのためには食生活や生活習慣の改善することであると、今回の研究報告は教えてくれています。
不妊治療を受けていても、受けていなくても、基本とすべきは、妊娠しやすいカラダづくりなのです。
研究報告で指摘されている食生活はどのように理解して、実行すればいいのでしょう。
・トランス脂肪酸よりも一価不飽和脂肪酸を多く
トランス脂肪酸が多く含まれるのは、マーガリンやショートニングなど、また、加工食品やファーストフードです。
反対に一価不飽和脂肪酸が多いのはオリーブオイルです。
ですから、加工食品やファーストフード、スナック菓子などを食べ過ぎないように、そして、オリーブオイルを使った料理をつくって食べるということになるでしょうか。
・動物性たんぱくよりも植物性たんぱくを多く
これは、肉よりも、野菜や豆類をたくさん食べましょうということですね。
・精製度の低い穀物を食べる
これは、お米であれば、玄米や胚芽米、パンであれば全粒粉パンです。また、砂糖や塩も白いものは避けることですね。
あと、乳製品やマルチビタミンのサプリメント、そして、生活習慣は、その通りです。
これらのことを実行することは、妊娠しやすくなるだけではありません。
最近のさまざまな研究は、妊娠前の母親になる女性の食生活や生活習慣が、子どもの長期間に渡る健康状態を左右することが報告されています。
是非とも、取り入れたいものです。