研究チームは、体外受精を受けている36名の女性を対象に、卵巣刺激前とHCG注射時、そして、採卵時に、血液中のビタミンEの濃度や脂質過酸化を測定しました。
36名のうち、不妊の原因が子宮内膜症であると診断された女性が17名、また、対象群(不妊の原因が卵管要因や男性不妊であると診断された女性)は19名でした。
卵巣刺激前は子宮内膜症の女性よりも対象群の女性のほうがビタミンEの濃度が高く、脂質過酸化には大きな差は見られませんでしたが、HCG注射時には子宮内膜症の女性グループでは脂質過酸化が増えました。
採卵時には、グループ間で、血液や卵胞液中のビタミンEや脂質過酸化は差は見られませんでしたが、卵胞液中のマロンジアルデヒド(活性酸素によって生産される代謝物)のレベルは、子宮内膜症の女性グループのほうが高い傾向が確認されました。
このことから、研究チームでは、子宮内膜症は卵胞液中の酸化ストレスを高める可能性があり、酸化レベルと抗酸化能力のバランスが悪化することで、卵胞形成過程における酸化ストレスによって、卵子の質を低下させていることが推察されるとしています。
コメント
子宮内膜症がどのように妊娠の妨げになるのかは大変複雑ですが、卵子の質が低下する可能性は指摘されているとことです。
ホルモンアンバランスのほかに、プロヅタグランジンやサイトカイン等の炎症の関連する物質のよるものとされているようです。
もしも、今回の報告にあるように、酸化ストレスの増大も卵子の質の低下の一因であるとすると、抗酸化力を高めることが対策として考えられるのではないでしょうか。