イタリアのPolytechnic University of Marcheの研究チームは、60名の27~39歳の男性不妊患者(精子数2,000万/ml以下、運動率50%以下、奇形率30%以上)を、2つのグループに分けて、一方のグループには、1日200mgのコエンザイムQ10を6ヶ月間摂取してもらい、もう一方のグループには偽薬を摂取してもらいました。
その結果、コエンザイムQ10を摂取したグループでは、コエンザイムQ10の血中や精子細胞中の濃度が高まるとともに、精子の運動率が改善されました。
これにより、原因不明の精子無力症では、コエンザイムQ10が精子の運動率の改善に有効であるとしています。
コメント
コエンザイムQ10やL-カルニチンは、一部の男性の精子の運動率を改善するのに有効であるとの報告は過去にもなされています。
精子はその高速運動のエネルギー源としてATP(アデノシン三リン酸)を使います。
体内に取り入れた炭水化物をブドウ糖を酸素で燃焼させて、活動のエネルギー源であるATPを産生しています。
コエンザイムQ10は、補酵素として、このエネルギー産生に関わっていることから、コエンザイムQ10が不足すると、産生効率が低下します。
このようなメカニズムでコエンザイムQ10の摂取によって、ATPの産生効率が高まり、精子の運動率が改善されるのではないかと考えられています。
もちろん、全ての精子無力症で効果があるわけではありませんが、原因が分からないケースでは、試してみる価値があるのではないでしょうか。