イタリアのフローレンス大学の研究チームは、子宮内膜症による不妊症と診断された107名の女性の腹腔鏡手術後の状況を調べたところ、1年以内に40名(37.4%)の女性が自然妊娠し、その後、体外受精を受けることで、1年以内に自然妊娠出来なかった67名の女性のうち20名(30%)が妊娠できたことが分かりました。
また、全体の傾向として、腹腔鏡手術後の半年が最も自然妊娠に至る確率が高いこと、子宮内膜症の程度(進行度)が低いほど、女性の年齢が若いほど妊娠に至る確率が高いことも分かりました。
このことから、子宮内膜症による不妊症は、腹腔鏡手術後は、体外受精も併用することで、6割弱の女性が妊娠に至ることが出来ることは分かりました。
コメント
子宮内膜症は不妊の原因になる病気であるとされてはいますが、実際のところ、どの程度、妊娠の妨げになっているのかを正確に把握することは困難です。
また、そもそも、子宮内膜症の診断も、腹腔鏡検査が必要です。
ですから、子宮内膜症と診断されても、ある程度の期間、自然妊娠や人工授精などの一般不妊治療で、様子をみることが大切です。
そして、軽度の内膜症であれば、その期間に授かることも十分に期待できます。
ところが、不妊期間が2年を超えて授からない場合、明らかに子宮内膜症が進行していて、炎症や癒着を起こしていることが考えられる場合には、すぐに体外受精にステップアップする選択肢もあるのでしょうが、腹腔鏡手術で癒着をはがし、きれいに治療を受けたあと、半年から1年は自然妊娠が期待できることがわかります。
それでも授からない場合は体外受精にステップアップするのがよいのかもしれません。
ただし、その場合でも、女性の年齢が判断する際の大切な目安になります。