アメリカのコーネル大学の生殖医療センターの研究チームは、1993年9月から2007年12月の間に、6719名の女性に実施した顕微授精8970周期の結果を、35歳以下、36~39歳、40歳以上の3つのグループ別に分析しました。
8970周期のうち妊娠に至ったのは3515周期(39.2%)で、1人あたりの治療周期数は8周期が最も多いものの、6周期以上の治療を受けた人はほんの一握りだったとのこと。
妊娠に至ったケースの79.7%は1回目の治療で妊娠しており、2回目の治療では16%、3回目は3.4%でした。
年齢別にみると、35歳以下では妊娠率は50.8%で、初回の妊娠率は53.7%、2回目は43%、3回目は33%、4回目は23%、そして、5回目は18.2%で、妊娠に至った女性は全員5回目までに妊娠していました。
36~39歳では、妊娠率は39.5%、1回目の妊娠率は41.5%、2回目以降、徐々に低くなって、5回目で25%でした。
そして、40歳以上では、妊娠率は24.1%、1回目の妊娠率は24.6%で、5回目でも18.5%と、他の年齢別グループに比べれば、さほど低下しませんでした。
コメント
母親になる女性の年齢が35歳以下であれば、体外受精を受ける際には、予め、治療は5回までと決めて計画を立てるのがよいかもしれません。
女性の年齢が若いほど、体外受精による治療効果が顕著なのは、卵管因子や男性側に不妊原因があるケースが多いことが推測されます。
ですから、30歳代後半以降の場合でも、長丁場にならざるをえないケースが増える傾向は否定できないものの、もしも、不妊の原因が卵管因子や男性側にある場合には、35歳以下の場合と同様に、5回程度を目安にするのがいいかもしれません。
それに対して、女性の年齢が高くなるほど、初回から妊娠率が低く、反対に、回数を重ねても、それほど低下しないのは、妊娠に至らない原因は、身体の機能の問題ではなく、卵子の染色体異常によるものが増えてくるものと考えられます。
年をとることで、不妊原因がなくても、卵子の染色体異常の割合が増えるため、妊娠までに時間がかかるようになるからです。
女性の年齢が高くなるほど、明らかな不妊原因がないのであれば、体外受精や顕微授精の治療効果は小さくならざる得ないわけですから、身体やメンタルな状態を整えながら、より自然に近い方法で授かることを期待するのが現実的かもしれません。