1995年から2006年の間にデンマークで、凍結融解胚移植によって生まれた1200人の子どもと、新鮮胚移植によって生まれた17800人の子どもの健康状態を比較したところ、脊椎二分症や口蓋裂などを含む先天性異常の発症リスクに違いはなく、凍結融解胚移植で生まれた子どものほうが母親のお腹にいる期間が多少長く、平均体重は新鮮胚移植で生まれた子どもよりも200グラム重いことが分かりました。
また、凍結融解胚移植で生まれた子どものほうが、2500グラム以下の低体重児、37週以前に出生する早産と、いずれの割合が低いことも分かりました。
研究チームでは、凍結したり、融解するプロセスで生き延びてきたことは、元来、生命力の強い胚であることが、これらの原因と考えられるとしています。
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現在、体外受精で移植する胚の数は、多胎妊娠を避けるために、出来だけ1個に近づける努力がなされています。
このことで、1回で、複数の卵子を採卵、受精させ、凍結することで、複数回数、移植するケースがますます増えることが予想されます。
ただ、受精卵を凍結し、一定期間の後、融解するプロセスは、何らかのマイナスの影響がありはしないかという不安を覚えるかもしれません。
ところが、今回の研究報告は、凍結融解胚移植で生まれた子どもの健康状態には問題はなく、かえって、新鮮胚移植で生まれた子どもよりも良好であることが分かり、凍結融解胚移植についての安心材料を提供してくれたと言えるかと思います。