体外受精を受けている夫婦における精神障害の有病率調査

ストレス

2008年07月30日

Human Reproduction

体外受精を受けている夫婦のうち、女性の30.8%、男性の10.2%は、何らかの精神障害と診断されることが、スウェーデンで実施された試験で明らかになりました。

スウェーデンの生殖医療機関で体外受精を受けている545組の夫婦を対象に、うつ症状を調べるために開発されたうつ質問票(PRIME-MD)を利用して、体外受精が患者夫婦の精神状態にどのような影響を及ぼしているのかを調べました。

その結果、アンケートに回答した男女(862人)のうち、何らかの精神障害があるとされたのは、女性の30.8%、男性の10.2%でした。

内訳は気分障害が女性の26.2%、男性の9.2%、うつ病が女性の10.9%、男性の5.1%、不安障害が女性の14.8%、男性の4.9%でした。

そして、精神障害が認められた患者のうち、そのことについての何らかの治療を受けていたのは、21%だったとのこと。

コメント

体外受精などの高度な生殖補助医療を受けることは、患者夫婦、特に、女性に対して、精神的な負担が大きいことが分かります。

そして、何らかの精神障害が伴っている場合でも、そのことについては、一人で抱えていて、何らかの専門家によるケアを受けている人は少数派であるようです。

体外受精や顕微授精は、人工授精までの一般不妊治療に比べて、高い妊娠率が得られる反面、精神的、肉体的負担も大きくならざるを得ません。

このことは、いかんともしがたいことなわけですが、高度な治療にステップアップする際に、治療内容や副作用、妊娠率などについて、十分な知識と理解があるのとないのとでは、治療が始まってからの精神的な負担はずいぶんと変わってくるはずです。

つまり、ただでさえ、負担の大きい治療を、無防備にステップアップすると、その後の精神的な負担は、もっと大きいものになるのではないかということです。

どのように治療に臨むのか、それによって、負担は変わってくるはずです。

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