体外受精児の出産前後の合併症のリスクが高いのは治療が原因ではない

不妊治療のリスク

2008年08月02日

The Lancet

体外受精で生まれた子どもには、たとえ、多胎ではなく、一人子であっても、低体重児や早産等の出産時の合併症のリスクが高くなりますが、ノルウェイで実施された研究で、それは、体外受精によるもの、すなわち、体外で卵子や精子を操作することによるものでないことが明らかになりました。

ノルウェイのSt Olav's Universityの研究チームは、体外で卵子や精子を操作することの出産時の合併症のリスクへの影響を調べるために、体外受精で子どもを出産した8229人と、少なくとも一人は自然妊娠で出産し、体外受精でも別の子どもを出産した2546人、そして、自然妊娠だけで出産した130万人の、低体重児や早産、死産等の出産時の合併症の発症について比較しました。

その結果、体外受精出生児は、平均体重で25グラム軽く、妊娠期間で平均2日短く、そして、低体重児や死産のリスクは、それぞれ、26%、31%高いことが分かりました。

ところが、体外受精でも、自然妊娠でも出産した女性では、体外受精出生児の体重は9グラム軽く、妊娠期間で0.6日短いだけで、ほとんど変わりませんでした。

反対に、死産では、自然妊娠出生児のほうが、体外受精出生児よりも3倍も発症リスクが高かったとのこと。

このことから、出産前後の合併症のリスク増については、体外受精とい治療を受けたことが原因ではないと結論づけています。

コメント

高度な生殖医療を受けたことで生まれた子どもの出産前後の合併症のリスクが高くなるのは、生殖医療によるものではないことが分かったということは、治療を計画、もしくは、受けている方々にとっては安心できるものでしょう。