妊娠中に魚を食べ、長く母乳で育てた母親の子どもほど心身の発育が良好

生活習慣・食事・サプリメント

2008年09月12日

the American Journal of Clinical Nutrition Vol.88 No.3 789-796 Sep.2008

妊娠中に魚を食べること、そして、長く母乳で育てることが、子どもの心身の発育を良好にすることが、デンマークで実施された大規模な調査によって明らかになりました。

アメリカのハーバード大学医学部やアメリカの保険団体、デンマークの政府系研究機関は、1997年~2002年に妊娠中の女性に実施したインタビュー調査「the Danish Birth Cohort」で、25,446人の子どもを対象として、妊娠中の食生活と授乳の状況と子どもの発育との関係を調べました。

インタビューの内容は、生後6ヶ月と18ヶ月の子どもの成長についての指標と、産後6ヶ月時点での授乳について、そして、妊娠中の食生活についてでした。

その結果、妊娠中に最も魚を食べていた母親の子供は、運動や認知能力に優れていることが分かりました。

妊娠中に最も魚を食べなかった母親の子供では、18ヶ月時点で発育の指標が最も低いのは全体の5.7%だったのに対して、妊娠中に最も魚を食べた母親の子供では3.7%でした。

そして、妊娠中に最も魚を食べた母親(1日に平均60グラム)の子供は、最も魚を食べなかった母親の子供に比べて、発育の指標が高かった子どもの割合が、6ヶ月時点で25%多く、18ヶ月時点で30%多かったとのこと。

さらに、母乳を与えていた期間が長い母親の子供もまた、発育状況が、特に、18ヶ月時点で良好であったことが分かったとのことです。

コメント

妊娠中に魚を食べること、母乳を与えることが、子供の運動能力た知能に好ましい影響を及ぼすことは、これまで多くの報告が明らかにしているところです。

魚と母乳に共通の栄養成分はオメガ3脂肪酸です。

このことから必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸は、子供の心身の発育に深くかかわっていることが分かります。

また、魚は水銀汚染を心配されることから、妊娠中に魚を食べることを懸念する意見がありますが、これまでの信頼のおける研究報告では、魚を食べることのマイナスよりも、メリットのほうが大きいとの見解を示しています。

妊娠前の葉酸の摂取とともに、明らかなエビデンス(証拠)があるわけですから、妊娠前から脂肪の摂取バランスに留意することはとても大切なことと思います。

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