オランダのアカデミックメディカルセンターの研究者を中心とするチームは、不妊夫婦にとって、過去の妊娠歴が、以後の自然妊娠する確率にどのように影響を及ぼすのかを調べるため、4,445組のカップル(平均年齢 女性:32.4歳 男性:35.1歳)を対象とした試験を実施しました。
被験者のカップルは、女性に排卵障害による不妊症で、男性不妊はありませんでした。
そして、全体の30%は、現在のパートナーとの間で妊娠歴があり、女性の9.3%、男性の9.4%は、以前にパートナーとに間で妊娠歴がありました。
過去に妊娠歴のあるカップルのうち17%は出産に至り、12%は流産、1.7%は人工中絶、そして、1.2%は子宮外妊娠でした。
過去1年の間に被験者のカップルのうち793組(18%)が自然妊娠していました。
そして、過去に妊娠して出産したカップルは、1.4倍、過去に妊娠したけれども 流産に終わったカップルは、1.3倍、過去に妊娠した経験のないカップルよりも自然妊娠するチャンスが高く、反対に、過去に妊娠したけれども、子宮外妊娠であったり、人工中絶したケースでは、過去に妊娠した経験のないカップルよりも自然妊娠する確率は低いことが分かりました。
また、過去の妊娠が体外受精や顕微授精によるものであったカップルは、過去の妊娠が自然妊娠であったカップルに比べて、その後、自然妊娠する確率は半分でした。
コメント
絶対的な不妊原因がないのにもかかわらず、なかなか授からないことに悩むカップルにとって、自分たちの妊孕性について、できるだけ現実的、かつ、正確に、把握しようとすることは、 とても大切なことです。
その際に、母親になる女性の年齢、そして、もちろん、相対的な不妊原因をはじめとする男女の身体の状態が、重要な指標になるのですが、過去の妊娠歴も自然妊娠の確率を左右する指標になりえるようです。
不妊治療についての二人の方針を考えるうえでとても参考になる報告ですね。